石巻競馬関連資料集
└新聞記事:昭和6年(1931年)
「石卷競馬塲 隣接地主との交渉に一頓挫」(『河北新報』1月23日)
牡鹿郡蛇田村石卷競馬塲を補助競馬塲として擴張し、宮城電鐵で經營する懸案は隣接地主が買收に反對して居るので工事等も行はれてないが、準公認競馬塲として認可を得るには、どうしても本年一杯にやらねば不可能となる事情が起つたので、目下競馬關係者有志は反對地主に對する交渉委員として大内元村長を推擧して專ら交渉をすゝめてゐるが昨今大内氏は健康を害して引籠つてゐるので關係者は氣を揉んでゐる。
なほ同村は純農民が大部分である昨今の生活状態はかなり窮迫し競馬塲擴張等についても困難の實状が濃厚であり關係地主としても少なからぬ困憊を思はせゐるから競馬塲問題も相當の曲折を見るべく今秋の準公認競馬擧行までは是非ともこれが圓滿解決を圖らねばなるまいといはれてゐる
「石卷水押に競馬塲新設 蛇田競馬塲擴張行惱みに乘じ石卷町有志が計畫」(『河北新報』2月27日)
牡鹿郡蛇田村石卷競馬塲を公認競馬塲として擴張させる條件で宮城電鐵に十五年間譲渡確定したので電鐵側では遅くも本年秋の第一回競馬まで擴張完成する方針で先づ隣接地主に對し交渉をすゝめてゐたが、蛇田村在住地主はいづれも貸與することに決定したのであるが、石卷町地主七八名の中には頑強に賣却するとしても高價を主張して纒まらず甚だしいのは賣買契約後一ケ月間に現金收受するやうでなければ賣却することが出來ぬとはねつけてゐるので手も足も出ず行き惱んでゐる、一方右の馬塲擴張が行き惱んでゐるので石卷町有志の間にはこの虚に乘じて新たに株主組織で水押區に開設しやうといふので計畫をすゝめてゐるが競馬塲擴張に奔走してる大内組合幹部は語る
「石卷町側の地主中には賣却するにしても現金一ケ月間位に拂つてくれと主張してゐる向が多くこれらに對し先づ三千圓位も用意せねばならぬ状態で行き惱んでゐるが石卷有志計畫の新馬塲開設に先手を打たれるかも知れない」
「石卷新競馬場 設立計畫具体化」(『河北新報』3月3日)
牡鹿郡蛇田村競馬塲問題からいざこざを生じてゐる矢先、石卷町有志により新競馬塲開設計畫がすゝめられ三日午後から石卷町カフエー待月に創立協議會を開く事に決定した、大体の豫定は營利的でなく倶楽部組織にし水押地内一万二千坪の敷地を買取り經費約八千圓で地方競馬塲たらしめやうといふので出資額は一口百圓とし株を募集する事にならふと。
「豫算一万圓で石卷競馬塲新設 來月廿九日第一回大會 新たに競馬倶樂部生る」(『河北新報』3月5日)
牡鹿郡蛇田村競馬塲を宮城電鐵に移譲し擴張する計畫は、目下行惱んでゐるが、石卷町有志は新たに石卷競馬倶樂部を組織し、地方競馬塲として實現しようとのことで三日午後一時からカフエー待月に關係有力家約三十名會合し創立委員會を開いた。
座長に邊見七太郎氏を推し議事を進め倶樂部組織として石卷競馬會と稱し、事務所を石卷立町十九番梶山貢氏方に置く、同會は仙臺産馬畜産組合が石卷に競馬を擧行する事業を援助し、地方発展の資に供するため設けるもので、眼目として地方発展を助成するものである。
年二回春秋に競馬會を擧行するが第一回は目下極力計畫をすゝめて來る四月二十九日の日曜日に競馬塲開きを兼ねて盛大に地方競馬會を擧行することに決定した。競馬塲の位置は水押その他二ケ所の三候補地を撰定されてゐるが、まだ決定されてゐない。
計畫の内容は敷地約一万二千坪で馬塲の外周圍は千百四十六米内周圍一千米巾十二間一分で、この外に馬見所審判所、事務所投票所厩舎、馬塲柵、下見所柵その他の各種建物設備費が六千二百五十圓、地均埋立等土工費が三千五百圓とし總工費が約一万圓としてゐる
費用等は一口百圓として會員から募集することに大体纏まつてゐる殊に縣農務課技手が二三日前に來石し、第一候補地を實地視察して絶好の地と折紙をつけた。
「石卷新競馬塲 計畫着々進む 結局蛇田競馬塲の方法はオヂヤンになるらしい」(『河北新報』3月9日)
石卷町有力家が倶樂部組織にして水押外二ケ所に候補地を求め本年四月二十九日ころ第一回地方競馬會を開催しやうとの方針で準備をすゝめてゐるが、一方蛇田村競馬會員は競馬塲を宮城電鐵に移譲したものゝ擴張問題が行惱みとなつて未だ進捗を見ないので大いに狼狽してるが、結局は蛇田競馬組合は解散のやうな形になるべくいはれてゐるが組合員の中には「結局は從來の競馬塲は永い歴史を有してゐるので惜しい氣がするが今日となつては石卷側の計畫が實現せば當然オヂヤンになるであらうから耕作地となるより外にあるまいと思ふ、何れ石卷側の競馬計畫の進展と共に蛇田側の組合でも何とか協議されて對策を講じねばなるまいと思つてゐる」と。
「石卷競馬塲 正式に開設ときまる 舊競馬塲附近を買收か」(『河北新報』3月14日)
石卷町有志の地方競馬塲を石卷町附近に開設しようといふ計畫は縣下では、古川町外數ケ所で競争を開始したので、縣下三ケ所に限定されてゐるのがすでに二ケ所が開設され、一ケ所が残されたので、石卷競馬クラブでも相當焦慮し、仙臺産馬組合に對し、地方競馬の契約成立につとめた結果、今回正式に石卷町附近に開設することに決定した。
敷地は未だ決定を見ず、三四ケ處の候補地につき買收交渉中であるが、第一候補地の水押區は地價の關係で尚交渉が残されてゐる由で、現在の蛇田競馬塲の隣接地をからんで大体買收交渉が進んでゐるから、結局舊競馬塲附近が買收成立するだらうとのことである。
同地の決定と共に直ちに工事を始め櫻花爛漫の候において第一回地方競馬會を華かに擧行する方針である。殊に設計は郡山市その他の競馬塲を參考として楕圓型とし、周圍に櫻樹を植ゑ、中には水清き池を造らうとのことだが、差當り第一回競馬會までは完全な設備が出來まいとしても、各種の建設を整へようとのことである。
「東北一の陸上競技塲建設 石卷の毛利氏が持地を提供し計畫を進める」(『河北新報』3月21日)
石卷町有志によつて競馬クラブが組織され地方競馬の第一回を五月初旬に擧行する運びになつたので石卷町および蛇田村では協力して馬塲までの道路新設を計畫することになつたが北上運河堤防を約三四尺も擴張せば自動車が往復し得るので石卷町で奮發することになる、殊に同馬塲に連接して東北第一の陸上競技塲を開設しようといふので石卷町毛利總七郎氏が持ち地を提供し計畫をすゝめることになり二十一日に日和クラブで協議會を行ふことになつたが、野球、庭球、その他陸上競技の一切を行ふやうに設備するので差當り本年秋には東北専門學校野球大會または中學校野球大會でも開催しようとのことだ、なほ馬塲とグラウンドの附近に大プールを併設して水上競技も出來るやうにし冬期にはスケート大會をひらくことにするの議もあり競馬組合と日和クラブとが中心となりオール石卷体育協會も組織する豫定でスポーツマンには一時に惠まれた設備が出來、スポーツ全盛時代が石卷にもおとづれて來た。
「石卷新競馬塲 敷地買收纏る 五月初旬第一回競馬會を華々しく擧行する豫定」(『河北新報』3月21日)
石卷町有力家によつて計畫された地方競馬塲開設については役員が晝夜熱心奔走の結果一万二千坪の敷地買收又は借り受けが十八日夜になつてやつと解決を見たので十九日午後から役員會を開いて具体的方法を協議の結果一兩日中に信頼すべき請負業者二三に指名入札を行ひ十二間巾の一千二百米周圍の大馬塲としての地ならし工事並に観覧塲、馬券所その他の建物等の着工することに決定した。
工事方法について敷地蛇田村水押區民有志より地均し工事などを請負はせてくれといふのであるが馬塲の工事と建物等は切り放してあるので失業救濟の意味を含めて青年團等に請負はせるもにゝが入札にあたる請負業者に責任をもたせて出來るだけ青年團員等に仕事をさせることを條件づける。又競馬塲を倶樂部組織から財團法人としてはといふ説もあるが目下のところ廿三人の出資八十六口で八千六百圓纏つてるし、尚加入するもの多く一万圓の株は突破するが時期を見て財團法人の經營にすること
その他數項を決定したが今回の競馬塲は地方競馬として馬券を發行するのであるから從來と異なつて設備も完備するもので直ちに着工し馬力をかけて來月下旬には竣工させたいといふので認可をいそいでゐるから五月初旬には石卷競馬塲としての第一回の地方競馬會が花々しく擧行される豫定である。
「競馬塲問題でまた旋毛を曲ぐ 蛇田村の石卷合併はますゝ困難となる」(『河北新報』3月26日)
石卷町市制施行準備調委會の根本方針は隣接蛇田村を先づ合併し次いで渡波町、稻井村を合して大石卷を建設すべしといふのに一致してるが、肝心の蛇田村が甚だ交換を持つてないので一頓挫を見てるやうだ、殊に石卷町有力家が蛇田競馬塲の擴張問題で行き惱みとなつた際、新たに競馬クラブを設立して地方競馬塲を新設することになつたのであるが、これに對して蛇田村當局に一片の好意を寄せ相談を持ちかけることをしないのは面白くないとあつて旋をまげたとのことだが、これが市制問題に感情を流し込んですべてが石卷町としてのやり方が面白くないとあつて影響を見てる。蛇田村某村議は
「今度石卷で競馬塲を新設するこになつたので從來歴史ある蛇田競馬塲が廃止となるが石卷が市制問題で蛇田村を合併しやうと交渉をしてる今日蛇田村當局及び有志の反感を少しでも買ふれ市制施行の促進する上に不利益なことゝ思ふ、市制問題を好轉する上に競馬塲問題は最もいゝ機會であり蛇田村としての石卷との合併問題のいゝ好餌でもあつたのであるが石卷がそれを利用しないで徒らに反感を買つたことは遺憾である」云々
「石卷町競馬塲 有志連出縣して認可促進」(『河北新報』3月28日)
石卷町有志計畫の競馬塲は着々進捗してゐるが廿五日は邊見、毛利氏等が町當局を訪問し入札等に關し町議會議事堂使用等に關し便宜をうけることになつたが、今明日中競馬クラブ幹部が上仙の上、認可促進につき陳情する筈で、
競馬塲開きは盛大に擧行することにし、來る五月中旬櫻花爛漫の候三日間に亘り第一回地方競馬會を催すことにならうと。
「蛇田競馬塲 五月競馬會擧行の豫定で着工」(『河北新報』3月31日)
石卷地方有志によつて計畫された蛇田村水押競馬塲新設については二十八日午後から競馬クラブ幹部會を開き、工事その他につき協議を遂げたが、五月中に第一回地方競馬會を華々しく擧行する方針の下に一切の準備をすゝめることに決定、それゞ係分擔を定めて折衝又は工事にあたることになつたなお左記の各件につき具体的協議をした。
一、敷地所有地主について貸借正式契約の件
一、會員資金約一万圓の拂込開始の件
一、敷地工事及び各建物建築工事に関する件
「石卷新競馬塲 きのふ地鎮祭」(『河北新報』4月2日)
石卷町競馬倶樂部では新競馬塲も蛇田村水押區に一万二千坪と決定したので一日午前十時から關係者の列席上現塲において地鎮祭を執行した、なほ工事は二三日中に着手する見込である。
「石卷新競馬塲 五月中旬第一回競馬會開催」(『河北新報』4月7日)
石卷競馬倶樂部計畫の蛇田村水押區の競馬塲は既報の如く地鎮祭を執行して工事に着手したが、工事は豫定より進捗する見込で來月初旬には馬券所その他の建物も馬塲の地均しと共に竣成する豫定で五月十四五日頃には引續き三日間に亘る第一回地方競馬會を開催するに至るべしとのことで、中央その他よりの競馬フアンが續々入込むものとし各地各方面に宣傳する筈だが同倶樂部ではそれにつけても石卷町から馬塲までの間一大自動車往復道路を開設しやうと町當局に迫つてゐるから町でも馬塲の竣工を見て町道開設の意嚮であると
「賃貸料から縺れ出す 石卷競馬塲工事遅れるか」(『河北新報』4月13日)
石卷競馬倶樂部が蛇田村水押區約一万二千坪を敷地に求め工事入札を行ひ地鎮祭を施行して一氣呵成に完成を企て五月中旬には第一回地方競馬會を盛大に擧行しやうといふ目論見である、然るに競馬塲賃貸料問題や敷地一部のもつれが起りつゝあり豫定の如く五月中旬の第一回競馬會がどうかと氣づかはれてゐる、尤もクラブ幹部間には一は縣當局に對し一は地主に對しそれゞ諒解に奔走してるので何等豫定の方針に紛糾を惹き起すやうな程度でないから大丈夫既定の計畫に基いて進行すべしとしてるが、地主加賀某は強硬にクラブ幹部の不誠意を難じてゐるから相當の曲折を見るべく或は工事進行の上に支障を來すではないかと懸念されてゐる。
「石卷新競馬塲 來月初旬竣工豫定 道路も大回収を加へる」(『河北新報』4月24日)
石卷競馬クラブで新設中の水押區競馬塲は着々工事をすゝめてるが來月初旬には竣工する豫定で、十六日から三日間擧行される地方競馬會には充分間に合ふ、クラブ側では種々準備をすゝめて居るが競馬塲までの北上川堤防道路其他石卷町から自動車で往復に支障のない程度に改修されるやう町當局等に申請し、町でも出來るだけ改修するやう便宜を圖る筈でクラブ側では相當補修を加へ競馬會開催までには石卷からの自動車往復に支障ないやうになるが、更らに毛利氏所有地約一万坪の隣接地を野球塲、陸上競技塲等に設備すべく計畫をすゝめ目下設計中で本年秋の競馬開催迄には陸上競技塲の設備を完了することにならうといふから、同方面も大發展を見るだらう
「石卷競馬に町も力瘤 補助金を交付」(『河北新報』4月26日)
石卷競馬塲は正式認可と共に工事をすゝめ豫定の如く馬券所事務所その他の建物も一切來月十日までに竣成することになり、十六日より開會の地方競馬會は三日間盛大に擧行する意気込みで、今回は地方指定競馬として最初のことでもあるので遠來の客にあくまでも好印象を與へるやうつとめてゐる。二十四日町當局商工會競馬倶樂部とが中心となつて協賛會設立についての協議會を合同汽船樓上で開き、その結果町當局も競馬塲までの道路の改善に援助し協賛會に對しても相當の補助を爲し、石卷競馬を今後仙臺のそれよりも盛んにしやうと計畫をすゝめてゐる。
第一日は競馬關係有志地方關係者等約百五十名を招待し花々しく蓋を開け第二日、三日共に天候さへ良好ならば葉櫻の新鮮な郊外に新しいスポーツとして壮快な競馬が數万の観衆を呼ぶことであらう。
「石卷新競馬塲 五六日頃全部完了する」(『河北新報』5月5日)
石卷競馬倶樂部で開設工事中の蛇田村水押區の馬塲均し及び建物等は豫定の進捗を見て居りこの分では本月五六日ころには全部を完了するから十六日より三日間開會する第一回地方競馬會には一切の設備を整へる事だらう、第一日目は馬塲開きとあつて約百五十名を招待し石卷蛇田協賛會が主となつて種々の斡旋や外來者の歡待にあたるわけで、競馬會出塲馬匹も多く同新馬塲を中心に近來の盛觀を呈するだらうとのことだが、開塲は午前十時半から午後四時ころ閉塲の豫定で三日間は天候良好ならば定めし稀有の盛況を見るであらうと。
「開塲近づく石卷競馬塲 縣外の駿足早くも殺到し數十頭練習を續く」(『河北新報』5月9日)
石卷競馬塲は七日縣より龜井技手産馬組合栗山技師等が現塲檢査行つたが、土質は全國的に優秀なもので賞賛された。各設備も大体竣工し首尾よく檢査がパスしたので直ちに一部着工せる建物の上棟式をあげたが、馬塲の巾十三間半内柵周圍一千二百米、馬塲外の敷地は約三千坪である、工費全部で一万五千圓、出來上つたのは馬券投票所長さ十間巾三間で審判所、現金引換所等も全部完成した。七日より長さ二十間高さ十八尺觀衆約二千人を容する大スタンドの建設にかゝり山下工務所で馬力をかけてゐるが、これは新式なスタンドであるといふ、開塲は豫定の如く十六、七、八の三日間で
「去る二日締切つた申込み競馬約百餘頭内國産新馬十餘頭古馬八頭、乙種二十餘頭縣内産馬十餘頭、内國産速歩二十頭で有名な馬匹は福島縣馬トウヨー、同キンカイ、縣内ミツセルポンビービイム、ナルコ、第二コミチ」等
主催側では目下プログラムの作成を急いでゐる。當日は午前八時落成式を行ひ走馬開始は十時からである。仙臺佐藤正治氏は時價一万圓といはれる名馬を約一週間前から練習させて居り、福島その他から數十頭も練習に餘念がない。
(寫眞竣工をいそぐ競馬塲の一部)
「石卷春季競馬 けふ蓋あけ 外來者を慰むるため名物の流燈も催す」(『河北新報』5月16日)
石卷競馬塲の完成によつて仙臺、愛子に先だつていよゝ本十六日から三日間地方競馬大會の幕が切つて落される、馬塲の工事は十四日までに大部分を竣工し僅かにスタンド下の賣店その他二三の工事を残してるのみだがこれも當日までには完了する。
正門には緑門を建設し左側に馬繋舎一棟十六頭を收容するのを二棟、これには馬扱者が合宿するやうに室を設けてる、馬見所は二十間に二間巾、下見所は二十間に二十五間、入塲券賣塲審判員詰所、優勝馬投票所、馬券賣塲等々附属建物も全部終了、大スタンドは約二千人を收容し得るモダン構造で一眸周圍一哩の馬塲を俯瞰し得る
出塲馬は七十頭で十四日午後から馬匹檢査を行つた、本十六日は午前八時から馬塲開き式を行ひ午前十時から競馬大會に移るわけで、石卷町商工會では競馬クラブと協議して外來者歡迎準備を遂げ各係を決定し万全を期することになり、歡迎方法としては北上川の流燈に煙火を打上げて水郷氣分を満喫させやうといふ、十四日夜最後の各係員協議會を石卷商工大會事務所に開いて決定を見た筈であるから歡迎方法及び競馬協贊方法が完全に行はれることであらう
(寫眞新石卷競馬塲大スタンド)
「前人氣よし 自動車往復も支障なし」
石卷競馬が本十六日午前十時から開始されるが各地からもフアンが殺到すべく前景氣が非常によい、石卷町、商工會等中心で競馬大會協贊會を組織し各種の準備をすゝめて居り、石卷から馬塲までの郊外道路も自動車の往復に支障を見ないやうに改修された、旭町有志は郊外道路の入口に大緑門を建設して協贊の祝意を表し、水押區民有志は競馬後援會を組織して各種の援助をすることになつた。
「自動車賃割引」
五月十六、七、八の三日間開催さるゝ石卷新競馬塲における競馬大會當日宮城電鐵では終點石卷驛より馬塲に到る十町の箇所を往復乗車券求めの客に對してはバス、タクシーの聯絡を計り一人十五銭のところ十銭に割引する由。
「石卷競馬塲落成式 競馬會は雨のため延期」(『河北新報』5月17日)
石卷新設競馬塲の落成並びに開塲式を兼ねて十六日第一日競馬大會を擧行する豫定の所朝來の降雨歇まず遂に競馬大會は中止に決し午前九時煙火を合圖に落成式だけ擧行した、縣農務課龜井技手外産馬組合より菊地副組合長外係員臨席石巻競馬倶樂部役員及び地方關係有志等約百五十名出席、會乘を馬券賣塲に變更、邊見石卷會長の擧式の辭並びに工事報告あつて山下工務所水押君と後援會に對し感謝状贈呈、來賓數名の祝辭後祝宴會に移つた、尚ほ競馬大會は申込馬匹が十五日中に約二十頭を増加し百二十頭に達する盛況で十七日は多少の雨があつても午前十時から開始する事となつた。
「雨中の開塲式」(『河北新報』5月18日)
北上川畔緑の廣野に新装成つた石卷競馬塲は、十六日雨中に開塲式だけを協賛し既報の如く競馬第一日目は順延となつたがクラブ役員連はやつと仙臺産馬組合に移譲したのでホツトしてゐる、菊地産馬組合副會長は「愛子の如き交通比較的不便な所でさへ馬券賣上高は相當多く馬事思想普及等に効果を見てゐるが今回仙臺と石卷の交通利便な所に新設されたことは本縣馬事育英の上に多大の期待を持たれることゝ信ずる」と喜んでゐる。
(寫眞雨中の石卷競馬塲開塲式)
「石卷競馬 第二日目成績」(『河北新報』5月19日)
石卷競馬第二日目は十八日午前九時四十分勝馬投票締切十時半競馬開始、この日風やゝあつたが天候申分なくスタンドは七分の入りだが午後から觀衆次第に多く塲内外の觀衆約一万と註せられた、午前中の馬券賣上高は九百二十七圓正午までの結果左の如し
第一競馬 内國産馬騎乗速歩(三千二百米)
1シノブ(馬主菊地三右衛門)タイム六分五三秒2イトリ3ハシダテ、拂戻二圓
第二競馬 内國産乙種新馬(一千六百米)
1タマナガ(馬主加藤清十郎)タイム二分2リウザン、拂戻一圓三十錢
第三競馬 内國産新馬(一千六百米
1ナルミ(馬主狩野逸壯)タイム一分五七秒2ハナミ3棄權、拂戻一圓
「石卷競馬 好天に惠まれて盛況 けふ最後の優勝馬競走」(『河北新報』5月19日)
新装の石卷競馬第一日目は豫想外の人氣で人出を見たが、二日目は舊四月一日とあつて農村地方其他在方の休みで人出あり、本三日目は最後の優勝馬各種競走が人氣を沸騰させてゐるから天氣さへ良ければ非常な盛況を見るだらう、優勝馬競走は午後から第五競馬から十一競馬の終るまでが手に汗をにぎる接戰を見るべく馬主、騎手共に眞劍となつて覇を争うことだらう。本縣産の新古馬共に優勝候補と目されるものが多く期待をかけられてゐるが、優勝馬競走には石卷競馬クラブ並びに石卷町長寄贈の大銀カツプが授與される。(寫眞、第一日目本縣産馬競走とスタンドを埋めた觀衆)
「景氣が惡いのは賣店だけ 第一日目雜觀」
新設石卷競馬塲は豫期以上の人氣を呼び第一日目は日曜と好天氣に惠まれ絶好の競馬日和、フアンは朝から腰辨で詰めかけ入塲料を節約しようといふ連中は運河堤防の草の上や柵を廻つて畑から原野一帯見晴らしのいゝ所に早朝から陣取つた。郊外散策にも絶好の日和とあつて終日競馬塲と石卷との道路は押すなゝの雜踏を見せ、自慢の二千人を收容するといふ大スタンドは文字通りすし詰めで塲内外の觀衆はおよそ三万人。
競馬フアンにまじつて雜踏をねらふ曲者が入り込んだといふので石卷署の非番巡査や刑事數名が私服で監視する、石卷町割烹瀧川主人Uが洋服ズボンのポケツトから、タンマリの金を蟇口共にすられたと訴へ出た外二三被害者が現れる。
第一回競馬の馬券票が二百七十餘票で素人までが六圓廿錢の割戻し景品がついた。それツといふのでスタンドを中心に塲の内外までが續々と馬券投票の熱が高まる。しかし多くは馬券投票の順序や其他不案内のため、まごついてゐるもの、様子を見ようといふもので熱が出なかつたが、最後に近くなつて優勝馬投票の呼吸を知つて増加し、四百票乃至五百票と増加して行つた。
氣の毒なのは何百かの塲内敷地を借りうけて設けた各種の賣店、人出の割合に賣上げがなく地代にもならぬとこぼしたものが多い。これは農村地方からはいづれも腰辨で赤児の頭ほどの握り飯をぶら下げての見物が多かつたからで、あるがこれも農民不況の現れであらう。
「石卷競馬 第一日目續き」(『河北新報』5月19日)
第四競馬縣内産馬騎乗速歩(三千二百米)1ヨシイワ(馬主加藤三郎)2マツノイ3コトブキ拂戻一圓六十錢
第五競馬内國産古馬(一千八百米)1ヤングマン(馬主高橋壽三郎)タイム二分八秒2ゴールマイン3チウユウ拂戻一圓六十錢
第六競馬内國産乙種新馬(一千六百米)1アリアケ(馬主高橋壽三郎)タイム二分十秒2タカクワ3テントク拂戻一圓八十錢
第七競馬内國産新古馬(一千六百米)1キンカイ(馬主横山甚之助)タイム一分五十九秒2ナルコー3ヨシエー拂戻一圓六十錢
第八競馬内國産馬騎乗速歩(三千二百米)1フヂヒソ(馬主白藤忠五郎)タイム六分五十八秒2フジナミ3イトリ拂戻一圓九十錢
第九競馬縣内産アラブ系新古馬(一千六百米)1ミスホンビーム(馬主高橋壽三郎)タイム二分二秒2キタカミ3コヤナギ拂戻一圓十銭
第十競馬縣内産古馬(一千六百米)1ミツセル(馬主宮下正喜)タイム一分五十五秒2第八オンセン3ラヂオ拂戻九圓三十錢
第十一競馬内國産古馬(一千八百米)1トウヨウ(馬主堀内榮一)タイム二分八秒2ピーラ3ホワイト拂戻一圓七十錢
當日の馬券賣上高は五千三百四十三圓にして馬券の買ひ方を知らなかつたゝめ割合に少なかつたらしいが、本日からは非常に多くならうと、午後六時三十分終了。
「石卷競馬 最終日(十九日)」(『河北新報』5月20日)
石卷競馬最終第三日目の十九日も申分なき競馬日和で人出多く午前九時四十分投票締切十時半競馬開始の豫定が石卷クラブ側では一、二、三着勝馬に對し賞金追加説を唱へ産馬組合側と交渉したが遂に妥協點を見るに至らなかつたこれがため豫定時間が遅れ正午過ぎまで僅かに左記二競馬を終つただけである、この日第五競馬より優勝馬決勝戰となるので騎手、馬主投票者等何れも緊張して居り塲内はフアンの人氣を沸騰させてゐる
第一競馬内國産馬騎乗速歩(二千四百米) 1マツカワ(馬主平井秀之助)(タイム五分三〇秒五分一)2ナカヨシノ二3ハシダテ、拂戻金十圓
第二競馬縣内産新古馬(一千六百米) 1ゴールマイン(馬主高瀬章吾)タイム一分五十九秒五分三2コヤナギ3キコウ、拂戻金一圓三十錢
「石卷競馬の入塲料金 八割は勝馬賞金として提供」(『河北新報』5月22日)
仙臺産馬畜産組合では本年度から新設した石卷競馬塲において本月十七、八、九の三日間第一回競馬會を開催したところ、非常なる盛況で第一日の入塲者五千三百五十二人、第二日四千九百二十六人、第三日は七千四十五人合計一万七千三百二十三人に達した、入塲料は一圓であるから入塲者數だけの取り上りあつたわけだが、その八割を勝馬賞金として提供した、なほ本年度から新設された観覧税は入塲者から一圓につき縣税三錢町税二錢を徴收した。
「優勝した名馬」
(上)石卷競馬で町長盃を得たマツノイ(馬主平井初之助)左と
競馬クラブ盃を得たピーラ(馬主小林金之助)右
「豫想外に儲かつた石卷競馬 税金八百餘圓」(『河北新報』5月23日)
石卷競馬三日間の馬券賣上高は、一万七千七百五十餘圓で、最初春季は一万五千圓、秋季は四万五千圓内外一ケ年の賣上高を六万圓と豫想したのが、春季開塲第一回で二千數百圓の増加を見たので秋季には五万圓は樂だらうといつて居る。殊に酒田競馬より四五千圓の増加だから最初の競馬塲としては良好な成績だといはれる。競馬クラブでは二十一日も成算會を開いたが、税金は一枚に對し五錢でこの税額八百八十七圓餘は縣税の分を差引いて蛇田村が六分、四分を石卷競馬クラブの基金として蛇田村當局より寄附することになつた
「競馬收入處分 四分は産馬組合に交附」(『河北新報』5月25日)
牡鹿郡蛇田村では二十二日午後緊急村會を開會、過般石卷競馬塲開塲し三日間の入塲料に對する村税の徴收につき原則としては同村收入役が現塲に出張し徴收に當る筈であつたが今回は例外として賦課額の六分を村税に收入とし四分は産馬組合に交附し同組合より石卷競馬クラブに基金として交附することに決定可決した。
「三ケ所の競馬 大部分が八百長 秋までに取締規定が必要と 改革派いきり立つ」(『河北新報』6月25日)
今春、仙臺長町、愛子、石卷の三ケ所において擧行された競馬は三ケ所を通じて約百回行はれたが、その内八十回ばかりは全部八百長競馬であるとなし、長町等の競馬の際の如きは群衆が事務所に押し寄せ大騒ぎを演じた程である、殊にこの八百長競馬には産馬組合のものも仲間に加はつてゐたとかで非難されてゐたが、果然關係有力者は斯くの如きは本縣産馬畜産の發達を阻害するものであるとなし改革運動を起すに至り同時に八百長競馬の行はれるのは公認競馬と異り騎手に對する制裁や出塲馬の取締規定がない結果であるからこの秋の競馬までには取締規則を制定するやう縣當局に陳情する筈で、この八百長競馬のあつた事實は縣當局も認めてるとの事であるから改革派の運動は功を奏することゝなるべく、尚ほ組合側ではこれを否認してゐる。
「石卷花競馬 來月三日擧行に決定 出塲馬は約六十頭」(『河北新報』7月25日)
石卷乗馬クラブでは、石卷北上川開き協贊から川開き翌日の八月三日晴天を期して石卷新競馬塲において商工會、競馬クラブ公演の下に花競馬を催すことに決定、會長石母田町長、副會長邊見七太郎以下各役員を夫々決定し準備をすゝめてゐるが、出塲場は約六十頭に達する見込みで地方の人氣を呼んで居り前景氣も頗る盛んである。
尚ほ審判係にも毛利英一、毛利總一郎、鈴木彌助氏を嘱託、雨天の際は順延する由。
「石卷花競馬 參加馬匹百頭を超えやう」(『河北新報』7月30日)
石卷乗馬クラブ主催第一回花競馬大會は北上川開翌日の三日午前九時から石卷競馬塲で開始、當日の番組は
「第一競馬速歩二千四百米、二回三才馬速歩一千二百米、三、四、五、六回一千二百米乃至一千八百米駈歩、七回、紳士速歩一千二百米、九回三才馬速歩一千二百米、十、十一、十二、十三回駈歩、十四回騎乗速歩優勝競走三千二百米(ハンデ付)十五回、駈歩二、三、四、九、十、十一の優勝競走十六回、第五、六、十二、十三の優勝競走千八百米」
等で各回一着三圓乃至三十圓、二着二圓乃至十圓、三着一圓乃至五圓の優勝馬賞金がある。尚當日は地方其他より參加馬百餘頭あるべく騎兵隊の高等馬術、障碍物飛越等の壯快な妙技が行はれるので人氣がいゝ。
「石卷花競馬 本競馬に劣らぬ賑ひ」(『河北新報』8月5日)
石卷乗馬クラブ主催の第一回花競馬大會は川開きの翌三日人出を見越して午前九時から石卷競馬塲で擧行、天氣にめぐまれ馬塲の周圍は一重二重に圍まれスタンドには約二千人の招待入塲場あり本競馬に比する盛況を呈した成績左の如し
第一競馬速歩 二、四〇〇米1ニシカワ三分二十五秒2チドリ3シロハナ
第二三歳馬速歩 一、二〇〇米1シヨーキ一分三十秒2タマエイ3第二カーネシヨン
第三丁組駈歩 一、二〇〇米1マタギク一分三十秒2シロハナ3トモ
第四丙組駈歩 一、六〇〇米1第一コザクラ二分五秒2リユーセー3キネラ
第五回乙組駈歩競走 一、六〇〇米1ホマレ二分十秒2クラシキ3コニシキ
第六競馬甲組駈歩千八百米 1デリオン二分一一秒2ヤングマン3ラヂオ
第七競馬 役員速歩 (餘興)
第八競馬騎乗速歩千四百米 1ホンリーダ六分四一秒2ザクラ3アカシダケ
第九競馬三歳馬速歩千二百米 1ハナヤマ一分三二秒2ヒヨリコマ3オシカヒメ
第十競馬 (各馬棄權)
第十一競馬丙組駈歩千二百米 1キング一分三二秒2エミトモ3ホーコク
第十二競馬乙組駈歩千六百米 1タマウシ一分五三秒2ヨシキヒメ3タカヤマ
第十三競馬甲組駈歩千六百米 1キタカミ一分五六秒2タマナガ3ヨシイエ
第十四競馬騎乗速歩優勝競走三千二百米 1ニシカワ七分四九秒2チドリ3ホクセン賞金十圓
第十五競馬丙丁及び三歳駒優勝競走千二百米 1シヨーキ一分二六秒2タマコ3タマエイ賞金二十圓
第十六競馬同上 1キング二分2コザクラ3エエトミ賞金二十圓
第十七競馬甲乙組優勝競走千八百米 1デリオン二分五2ラヂオ3キタカミ賞金三十圓
「石卷秋競馬 來月廿六日から三日間開催」(『河北新報』8月15日)
石卷競馬塲の秋季地方競馬大會は來月二十六日から三日間開催するが第一回競馬と花競馬に人氣を沸かしたので、今秋の競馬は定めし盛況を呈するものと期待されてゐる。
「石卷秋季競馬 十月三日から三日間擧行」(『河北新報』9月29日)
石卷競馬塲の秋季競馬會は來る十月三日より三日間擧行。第一回春季地方競馬に馬券賣上約二万圓を算したが今秋こそ優勝馬を百發百中し一躍競馬成金を夢見てる連中が早くも人氣を煽つてゐるので馬券熱沸騰するものと豫想されてゐる
「秋季競馬會 いよゝ蓋開 石卷は本日より三日間開催 春にまさる大人氣」(『河北新報』10月3日)
仙臺産馬組合秋季地方競馬會は、本三日石卷競馬塲で三日間を振出しに愛子、仙臺等で擧行、石卷競馬クラブでは邊見會長以下が準備に万全を期してゐるので、今秋は春季競馬よりは一層の人氣を沸騰させることだらうと期待され、申込馬匹も一日まで七十餘頭あり、當日まで百頭を突破する見込みであるが、昨今早くも各地から乗込んで連日練習に馬塲ならしをしてるもの多く、馬塲のコンデシヨンは春季競馬より以上に良好なので沸くやうな人氣を呈するだらうと
「石卷競馬 午前中の入塲者三千人」(『河北新報』10月4日)
仙臺産馬組合主催石卷競馬會第一日は三日午前八時開場、秋晴れの空高く絶好の競馬日和に石卷郊外水押原頭は朝から賑はつた、農村地方からの馬券に一儲けしやうといふフアンも多くスタンドは五分の入りだが普通入塲者を加へて午前中既に三千人と註せられた午前中の競馬結果左の如し
第一競馬 縣内産馬騎乗速歩三二〇〇米
1デンワ馬主阿部嘉夫タイム八分一六秒2ハシダテ3ハマカゼ拂戻四圓二十錢
第二競馬 内國産丙馬競走一六〇〇米
1コモリ馬主千葉薫タイム二分一秒五分四2リウザン3ホーライ拂戻二圓二錢
「石卷競馬 第一日續き」(『河北新報』10月4日)
石卷競馬第一日目の午後からの競馬に觀衆加はり勝馬投票は春競馬よりも多いといはれ第一日目の馬券賣上高は約五千圓であると。
第三競馬 縣内産三歳馬競走一二〇〇米
1シヨーキ馬主阿部嘉夫タイム一分二秒五分ノ一2ランバイ3ミヤヨシ、拂戻一圓二十錢
第四競馬 内國産騎乗速歩三二〇〇米
1第二ミシマ馬主戸内三郎タイム六分四十九秒五分ノ一2ベツト3マツバラ、拂戻三圓
第五競馬 内國産馬競走一八〇〇米
1ミヤハタノ三馬主岩淵卯三郎タイム二分七秒2第二コミチ3ナルコー、拂戻十圓
第六競馬 縣内産三歳馬競走一六〇〇米
1アオバ馬主山田傳タイム一分五十四秒2第二タマツル3第三コミチ、拂戻一圓二十錢
第七競馬 内國産乙馬競走一六〇〇米
1タマナガ馬主加藤清十郎タイム一分五十三秒2ハナミ3ヨシエー、拂戻一圓五十錢
第八競馬 縣内産馬騎乗速歩競走三二〇〇米
1ナガハナ馬主永浦兵衛タイム七分十七秒五分の二2ハシダテ3マツノイ、拂戻一圓五十錢
第九競馬 縣内アラブ系馬競走一六〇〇米
1キタカミ馬主梶山貢、タイム一分五十四秒五分の三2ミスホンビーム3ナカツナ、拂戻四圓
第十競馬 縣内産馬競走一八〇〇米
1第八オンセン馬主加藤卯吉、タイム二分八秒五分の一2ナルコー3ラヂオ、拂戻一圓四十錢
第十一競馬 内國産馬競走一、八〇〇米
1シヨウリウ馬主澤田榮藏タイム二分五秒五分ノ四2ヤングマン3リコーサン、拂戻ニ圓四十錢
斯くて午後五時十分無事終了した
「大穴に湧立つ石卷秋季競馬」(『河北新報』10月5日)
石卷競馬會第一日はお誂へ向の競馬日和午後から油が乗つてくると馬券フアンが刻々と加はり馬券賣塲が押すなゝの雜踏。大穴は五競馬の番狂はせで十圓の割戻しには殺氣立つたものがあつた(寫眞石卷競馬會第一日の盛況)
「番狂はせに人氣を呼ぶ 石卷競馬二日目」(『河北新報』10月5日)
石卷競馬二日目四日は朝來の小雨も晴れ前日の番狂はせに人氣を呼び日曜の事とて觀衆多く正午ころに約五千人の入塲あつた。
第一競馬 縣内産馬騎乗速歩競走三、二〇〇米
1ハシダテ馬主伊藤喜一タイム七分六秒五分二2マツノイ3ハマカゼ拂戻一圓二十錢
第二競馬 内國産丙馬競走一、六〇〇米
1ミヤヤマ馬主梶原右近タイム二分三秒2リウザン3ホーライ拂戻二圓三十錢
第三競馬 縣内産三歳馬競走一、二〇〇米
1第三コシヂ馬主齋藤徳次郎タイム一分二九秒五分三2ミヤヨシ3ランバイ拂戻三圓十錢
第四競馬 内國産騎乗速歩競走三二〇〇米
1ワカマツ馬牛能登谷誠二タイム七分二十四秒五分二2ベツト3フアストスピー、割戻二圓四十錢
第五競馬 内國産馬競走一、八〇〇米
1第二コミヅ馬主齋藤徳太郎タイム二分七秒五分四2ナルコー3バイリン、割戻一圓四十錢
第六競馬 縣内産三歳馬競走一、二〇〇米
1ミヤフジ馬主水野大六郎タイム一分二十六秒五分一2ランバイ3ミヤヨシ、割戻一圓五十錢
第七競馬 内國産乙馬競走一、六〇〇米
1ヨシモ□馬主齋藤兵吉タイム一分五十六秒五分三2ハナミ3ヨシモリ、割戻二圓十錢
第八競馬 縣内産馬騎乗速歩競走三、二〇〇米
1クリヤマ馬主遠藤□□タイム七分三十五秒五分一2ナガハナ3コトブキ、割戻五圓三十錢
第九競馬 縣内産アラブ系馬競走一、六〇〇米
1ミスホンビーム馬主高橋壽三郎タイム二分一秒2ベンテン3ナカツナ、割戻一圓三十錢
第十競馬 縣内産競走一、八〇〇米
1ナルコー馬主佐々木文左衛門タイム二分八秒五分四2ラヂオ3ナルミ、割戻二圓三十錢
第十一競馬 内國産馬競走一、八〇〇米
1ヤングマン馬主高橋壽三郎タイム二分十一秒五分の二2バイリン3ヨシモリ、割戻一圓二十錢
午後四時半終了總賣上高は約九千三百圓であつた。
寫眞「石卷秋季競馬」(『河北新報』10月6日)
馬券交附所へ殺到する觀衆(二日目)
「石卷競馬 第三日目」(『河北新報』10月6日)
石卷競馬三日目五日は絶好の日和に最終日優勝馬競走優勝旗争奪等に馬主も騎手も觀衆も共に油が乘り優勝馬投票馬券の賣上は約七千圓に上つた今日の結果左の如し
第一競馬 内國産騎乗速歩競走三〇〇〇米
1ベツト馬主本田西門タイム六分三六秒五分二2マツバラ3フジヒラ、割戻金一圓八十錢
第二競馬 郡内産馬競走一、六〇〇米
1ラヂオ馬主佐藤盛衞タイム二分〇秒五分二2ベンテン3第四ヨシモリ、割戻金一圓二十錢
第三競馬 内國産乙丙馬競走一、六〇〇米
1アリアケ馬主高橋壽三郎タイム二分一秒2ミツタカ3カツヤマ割戻金一圓九〇錢
第四競馬 内國産馬競走一、六〇〇米
1ナルミ馬主狩野壯逸タイム一分五七秒五分四2ナカツナ3ヨシモリ割戻金一圓三〇錢
第五競馬 縣内産馬騎乗速歩優勝競走四、〇〇〇米
1マツナイ馬主平井秀之助タイム八分四八秒五分四2ハシタテ3ナガハマ割戻金一圓六〇錢
第六競馬 内國産乙丙馬ハンデーキヤツプ競走一、六〇〇米
1ヨシイエ馬主齋藤兵吉タイム一分五五秒五分三2ハナミ3タマナガ割戻金ニ圓四〇錢
第七競馬 縣内産三歳馬優勝競走一、六〇〇米
1アオバ馬主山田傳タイム一分五三秒2ダマチル3シヨーキ 割戻金一圓三〇錢
第八競馬 縣内産アラブ系馬優勝競走一、八〇〇米
1ニツポンビーム馬主高橋壽三郎タイム二分一〇秒五分二2キタカミ3ベンテン、割戻金二圓
第九競馬 内國産騎乗速歩優勝ハンデーキヤツプ競走四、〇〇〇米
1ベツト馬主本田西門タイム八分二三秒五分四2マツバラ3第三ミシマ割戻金一圓九〇錢
第十競馬 縣内産馬優勝競走二、〇〇〇米
1第二コミチ馬主齋藤徳次郎タイム二分二二秒五分一2第八オンセン4ナルコー割戻金二圓五〇錢
第十一競馬 内國産馬優勝競走二、〇〇〇米
1シヨウリユウ馬主澤田榮藏タイム二分二一秒五分四2ミヤハタノ3ナルミ割戻金一圓十錢
なほ石卷町よりは第十回の優勝馬に銀カツプを授與、午後五時十五分無事終了した。
「蛇田競馬塲の跡地利用策 移出白菜を耕作する出荷組合で權利獲得」(『河北新報』10月26日)
石卷競馬塲が地方競馬塲として郊外押平原に開設されたので、數十年間開設されてゐた蛇田村舊競馬塲は自然廃止となり、數千坪が徒に荒廢してゐるので、この荒蕪地の利用問題について石卷蛇田關係有志が協議中であつたが元來畑地が多いのでその他の原野も野菜作地として多少改良を施すにおいて利用される所から石卷、蛇田聯合出荷組合で競馬塲跡全部の耕作權譲り受けることに決定、輸出野菜主として白菜を耕作することになつたが、これがため兩町村の白菜出荷は更に主要生産として輸出増加を來たすわけで最も生産的な利用方法として歡迎されてゐる。