石巻競馬関連資料集
 └新聞記事:昭和23年(1948年)

「縣營競馬塲は二カ所 雲雀野公認の運動を開始」(『石卷新聞』7月29日)

石巻市外雲雀野海岸三万五千坪を利用する大競馬場の建設に關しては既報のとおり地元有志間に石巻競馬會(會長龜山六三郎氏)を結成、建設運動を展開したが、たまたま競馬法の施行に遭い宮城縣下に二カ所の縣営競馬場が認められることとなつたので、二十六日龜山會長、本間市議會議長、三浦助役等が出仙、縣當局に開設承認方を陳情した、すでに地元雲雀野では工事に着手、八月中旬には施設完成の運びとなつているが、縣下に二カ所とすれば長町競馬場のほかぜひ石巻に持つてきたいという地元の意向であり、また一方登米、栗原等の産馬地帶からも出願が豫想されるので地元ではなお開設を強力におし進める方針である、なお石巻市としてもこの競馬場の開設をみれば八月一日から税額の三分の二を戴ける入塲税、さては競馬直通市營バスの開通等々これによる市發展の一策も見越せるので競馬會と協力同じく鋭意實現に努力したい意向である

「競馬場實地調査 縣議常任委員」(『石卷新聞』8月10日)

石巻市外雲雀野海岸に縣営競馬場を設置する計画については既報のとおり石巻競馬協會石巻市および石巻市議會の三者連合で縣議會に對し實現方請願書を提出、縣議會ではこれを關係常任委員會に附託していたが十日午前これにつき委員および縣關係者一行十五名が來石、雲雀野三万五千坪の實地視察の上石巻市關係者と懇談會を開催する、常任委員の視察ともなれば実現の可能性も濃いと地元ではみている

「今月末縣議會で決定 雲雀野競馬場の公認問題」(『石卷新聞』8月12日)

縣議會經濟委員會の佐々木委員長、千葉、千石兩議員および淺野、石垣、齋藤等地元縣議の一行は十日正午來石、かねて縣議會に縣営公認方請願提出中の石巻雲雀野競馬場を市關係者の案内で視察、終つて市および石巻競馬協會共催の懇談會にのぞんだ
 縣営競馬場としての承認方を縣議會に請願中であるのは石巻市のほか玉造郡川渡村があり、仙台長町競馬場の縣営はほとんど確定的なところからあと一カ所は石巻、川渡間の爭奪戰となる
同委員ら一行は石巻の視察後川渡に赴き調査、終つて今月末招集豫定の縣議會で決定の運びとなるが相手方の川渡村が馬産地であることを承認誘致の好條件としているのに對し地元石巻では
 馬産地で競馬をおこなつては馬の育成上好い影響は與えない
 石巻は人口五万を擁する都市であり交通上の條件もよく、雲雀野海岸は絶好の適地である
と強調、懇談會の席上でもこの點を重ねて協調した、視察した委員一行も雲雀野の適地なことを認めて歸仙した模様

「石巻競馬場指定 委員會で意見一致」(『石卷新聞』9月4日)

石巻市外雲雀野一万三千坪を利用しての縣營競馬場開設指定につき石巻競馬協會ではかねてから市および市議會の協力をえて縣議會に指定方陳情中であつたが、一日同協会に對し縣議會産業經濟委員會では石巻を指定するに意見一致した旨非公式の通知があり關係者を欣ばせている

「石巻競馬場 正式に公認」(『河北新報』9月5日)

宮城縣内にもう一ケ所公認される競馬場についてはかねて石巻市と鳴子町との爭奪戦となつていたが三日附石巻市に正式認可となつた、双方からの競願に対し縣で現地調査の結果位置や施設などから石巻を適地と認めたもの

「雲雀野競馬場 正式に決定」(『石卷新聞』9月7日)

石巻競馬協會でかねて縣議會に設置實現方請願中の石巻市外雲雀野競馬場については縣議會産經委員會でも滿場一致石巻を推し本會議でも石巻案が可決されたので雲雀野競馬場の實現は確定した旨このほど同協會に通知された

「完成近い石巻競馬場」(『河北新報』9月8日)

公認競馬場に指定された石巻市雲雀野浜競馬場はこのほど馬場の柵回しを完成、今月下旬まで全部完成の予定である、馬場は幅十米、円周の内コース千米で公認指定とともに新潟、山形、縣内各地から申込みが殺倒し現在三百二十頭にも達しているので今秋の石巻競馬は大きな期待がかけられている

「雲雀野競馬場 來月はじめ落成」(『石卷新聞』9月14日)

縣營競馬場に本決まりとなつた石巻市門脇雲雀野競馬場は今月末までに事務所、馬券賣場の建築を終る豫定で十月はじめ千葉知事が來場落成命名式を擧行、第一回の秋競馬大會は同月中下旬にわたり各四日間ずつ開催と内定した

「石巻競馬は四日間 十月二十二日から」(『石卷新聞』9月30日)

縣營公認競馬場に正式決定した石巻雲雀野競馬場の第一回公認競馬は十月二十二日から四日間おこなわれる旨このほど縣から石巻競馬協會あて正式通知あつた

「騎馬行進で宣傳 廿二日石巻競馬場」(『石卷新聞』10月16日)

開始前の日程次のとおり
△二十日馬體檢査△二十一日能力檢査、午前十時から競馬場で縣知事以下出席のもとに石巻競馬場披露式を開催、またブラスバンド騎馬行進などで市内はもとより蛇田渡波あたりまで宣傳につとめる

「22日から石巻競馬」(『河北新報』10月17日)

初の縣營競馬を飾る石巻雲雀野競馬場は二十二日の開場を前に準備を進めているがスケジユールは二十日馬体検査、二十一日能力檢査同日午前十時から縣知事出席のうえ開場ひ露あり二十二日から四日間(雨天順延)華々しくレースを展開する

「豪快な石巻秋競馬 新裝の雲雀野馬場で廿二日から」(『石卷新聞』10月19日)

二十二日から四日間おこなわれる初の縣營石巻競馬開催要領が左のとおり決つた
 △出走申込二十日正午まで縣廰畜産課または桃牡地方事務所へ
 △資格および手續 明三才以上の馬で本縣に馬主登録および馬登録をしたもので申込用紙に所定事項を記入し産駒證明書または馬籍謄本、本縣發行の馬主登録證馬登録證に手續料二十円をそえ申込むこと
 △馬體檢査 二十日午前九時から石巻市雲雀野の現場で午前駈歩午後速歩の順
 △能力檢定 馬體檢査に合格した馬で必要と認めたものに對し實施二十一日午前九時から駈歩速歩の順
 △騎乗申込 二十一日までに本縣發行の地方競馬騎手免許證に申込手數料五十円をそえ縣畜産課へ
なお開催を目前に地方事務所、市商工會議所、石巻競馬協會など關係方面が目下準備に忙殺されているが列車は毎日午後七時二十分發小牛田行を増結(バスも交渉中)優勝馬には市長賞、商工會議所賞、市内有名商店賞などもおくられるはず
△第一日目(二十二日)の概定番組によれば競走は午前十時半の速歩レースを皮切りに午後三時の駈歩レースまで十回、このうち速歩は二千、二千二百、二千四百、二千六百、三千の五回、駈歩は千、千二百、千四百、千六百、二千の五回

「仙台競馬の純益」(『石卷新聞』10月19日)

十日から六日間開催の仙台競馬の賣上高は三百二十万円に達しそのうち拂戻は二百二十六万円賞品三十万円その他人件費等を差引いても縣の収入は二十數万円になる見込みである (共同)

広告(『石卷新聞』10月19日、21日)

「縣營 石卷競馬 主催宮城縣 期日 自十月二十二日(金)至十月二十五日(月) 花火合圖 場所 石卷市雲雀野競馬場(南地) 余興寳探しあり」

「石巻競馬」(『河北新報』10月20日)

第一回石巻競馬は二十二日から四日間開催することに決定、縣ではこの総賣上げ約二百万円を見込んでいるが應急整備した同競馬場が果してどれだけの人をあつめるか一應不安の念をいだいている、なお縣では年内もう一回石巻競馬を実施したい意向をもつている。

「社説 石巻競馬に望む」(『石卷新聞』10月21日)

 新裝全くなつた雲雀野海岸縣營石巻競馬場初の開催たる秋競馬はいよいよ明二十二日から四日間おこなわれることになつた、當地方としては十數年前水押馬場で行われた草競馬があつたのみで、その後しばらく開かれておらず、競馬フアンを寂しがらせていたが、今回の催しに前人氣は早くも沸騰しているようである、なお四日間は臨時列車も編成されることとて、地方からの人出も相當多く豫想されるし他所から泊りがけのフアンも可成り多く期待されている。
 長い間の魚の不漁で沈滯している商店街もこの競馬の催しで若干活況を呈することも考えられるがとにかく市外の人々が相當入り込むことであるから、觀光都市としての面目を充分發揮して外來客に好印象を與えるようにしたいものである、去る八月催された川開きの際は十數万人の人出があつたが商店ことに飲食店關係において可成り惡い評判もあつたこととて、市商業界將來のためまことに遺憾の點があつたようだ、今回も市内は川開きほどのことはないとしても、競馬場内外に相當な出店ができることと思うが、是非自肅して第一回から好印象を與えよるう努力すべきであると思う。
 なおこれに附隨して當局に望みたいことは治安、風紀の維持である競馬場には大概現れる現象であるが、盗難、詐欺、恐かつ、喧嘩等を充分取締つてもらいたいことである、何人も安心して、心ゆくまで競馬のだいご味に浸ることのできるふん圍氣をつくるにはどうしても場内の完全取締りが必要である、これも第一回目に失敗すると、いわゆるガラの惡い競馬場のやき印がおされ眞面目なフアンは二度とよりつかなくなることになつて、折角風光明眉他に比類のない自然環境に惠まれた石巻競馬場の將來を暗いものにする恐れがある、ことに最近のような社會様相が良好でないときなお一段の徹底が望ましい。
 東北の公認競馬場は僅かに福島と新潟のみであつて國際的な感じがするが、縣營では本縣では仙台、石巻の二個所のみである、公認競馬ほどの規模と設備は將來の問題としても、せめて場内のふん圍氣だけでも明るく、樂しいものにさせるよう協力すべきであると思う

「秋競馬の準備成る」(『石卷新聞』10月21日)

石巻競馬は二十二日から開始されるがこれに先立ちきよう同競馬場の披露式が高橋副知事以下多數出席しておこなわれ終つてブラスバンドを先頭に騎馬行進が市内を練り歩くがこんどの出場馬數は百頭で拂戻は従來と異り無制限で入場料はプログラムとも二十円、第一レースは十時三十分から、なお會期中仙鐵局ではパルプ工場驛まで電車を運轉、まだは仙北鐵道では石巻驛から始發三十分毎にバスを運轉する
 (理事あいさつ)□□□□□□□□□□うの落成式を前に左の如く語つた
 門脇善海田南地一帶は高潮の襲來の都度浸水の危險があるのでこれが對策としてはどうしても海岸堤防を増築する以外にないので、その工費財源ねん出に關しいろいろ考えた挙句海岸國有地に競馬場を開設し競馬會の収入をもつて工費に充てれば市繁榮上にも一石二鳥の施設であるとこの案を市當局に申し入れたら直ちに賛成を受けたその間種々の支障があつたが豫定通り完成を告げてここに第一回大會を開催せらるゝに至つたのである

「石巻の秋競馬始まる 好天氣に惠まれた第一日」(『石卷新聞』10月23日)

初の縣營石巻競馬第一日目の二十二日は早朝の花火を合圖に開始秋晴れの好天氣に惠まれ雲雀野競馬場には觀衆約一万五千があつまり午前十時半の第一レースを皮切りに幕が切つて落された、レース状況は馬場がまだ若干整備不良のため變動多く第一レース九十円、第七レース九十一円とそれぞれ大穴馬券賣り上げは最終の十レースまでに總額六十四万八百円に達した、出馬頭数は六十二頭、第一日目の優勝馬はマーベン(矢本進駐軍)なお二十三日の第一レースは同じく午前十時半から

「人氣わく石巻競馬」(『河北新報』10月23日)

縣営石巻競馬初日は二十二日午前七時半花火の合図で幕が落された好天に恵まれ入場者は約八千馬券の賣上げは七十万円を突破、会期二十五日までには馬券賣上三百万円を超えるものと予想されている

「大穴の石巻競馬」(『河北新報』10月24日)

縣営石巻競馬第二日の二十三日は六レースに連勝式で千七十一円の穴が出るなどフアンを熱狂させ同日の馬券賣上は六十五万円にのぼつた、なお今日の日曜日には場内寳探しの特別餘興が行われる

「賣上げ百廿万 賑う石巻競馬」(『河北新報』10月25日)

縣営石巻競馬第三日目の二十四は日曜日と天候に恵まれ最高潮に達し観衆約一万二千名を数えて同日の馬券賣上額は百二十万円、平日の約二倍という盛況ぶりで場内はその観衆を目当てに掛茶屋の赤い天幕に埋つた、なお同日は第六レース速歩の連勝式で九百二十六円の大穴が出た、二十五日の最終日で馬券賣上は二百五十万円突破のみこみ

「走路に難點 石巻競馬場 四日間にわたるレース終る」(『石卷新聞』10月26日)

 二十二日から開かれた初の縣營石巻競馬は初日から快晴三日間連續、最終日の二十五日小雨模樣のうちにもおとろえぬ人氣を呼んで盛況のうちに幕を閉じた
四日間を通じての人出は連日五千を下らず、とくに日曜日の第三日目は入場劵賣上げだけでも四千三百枚、人出はざつと二万人という景況一方馬劵賣上げも初日六十四万八千円、二日目六十万三千八百円、三日目は百三十万二千二百円とクライマックスに達し、四日目は雨中にもかゝわらず第四レース(正午)現在二十五万円の賣上げをみせている、またこれをめぐつて悲喜こもごもの情景を生む穴は初日第七レース單九十一円、二日目第六レース連千七十一円、三日目第十レース連五百三十円などこの活況のほかに場内各賣店、連絡バス、旅館等で市内に落ちた金も相當な額にのぼる譯だが。石巻市のフトコロへは入場料(十五円)のうち六円ずつ、このため市税務課で總出動現場に配置された一方關係者間では宣傳不足(沿線町村では知らなかつたところも多い)および馬場とくに走路の改善につき反省の聲もあり來場の木村縣畜産課長も左のとおり語つている
 ◇仙台競馬に比し收入は多いようだがそれだけ經費かさむ、施設の點では馬場とくに走路の改善が必要でとくに海岸より走路などは相當な改良がいるこの施設改善をみなければここで第二回競馬はできないとおもう
最終日の賣上九十六万九千二百円

「仙台競馬を凌ぐ 賣上三百万圓」(『石卷新聞』10月28日)

二十二日から四日間盛況裡におこなわれた縣營第一回の石巻競馬の成績は馬劵賣上高總額三百五十七万円(うち二割五分が縣の收入)に達した、仙台競馬の六日間で二百万円の賣上に比し四日間でこれを上廻る成績をあげたわけだが、最終日各レースの各優勝杯受賞馬は左のとおり
 △知事杯スピード・クイン・ホーネン△縣會議長杯地方事務所長杯ミス・サイダー△市會議長杯ロビンス

「石巻の秋競馬再開 二十五日ころ いまから盛况を豫想さる」(『石卷新聞』11月6日)

第一回縣營石巻競馬はさる十月二十二日から四日間開催、好天候にめぐまれ馬劵賣上げも合計三百五十万円という好成績をおさめたが現在開催中の第二回仙台競馬に引續き十一月下旬第二回の石巻競馬を開催しようとする動きが地元におこつている
これは山形、仙台その他各地の騎手からなる騎手連盟から縣へ「第二回石巻競馬を開催されたい」と要望、縣では當初同競馬場の施設不備を主な理由に應じなかつたが結局「直接石巻市との間に契約するのなら」との條件ずきで開催に應じたものでこれにつき五日市と競馬協會との間で打合わせた結果、縣の示す線に沿い開催することとし施設改善および修理費約三十万円の分擔、使用料その他細部についてはおつて縣へ交渉することとした開催は大體二十五日前後となる見込

「第二回秋競馬は中止 來春まで馬場修理に專念」(『石卷新聞』11月11日)

十一月下旬開催されるかと噂されていた縣營第二回の石巻競馬は縣の都合により取止めとなつた、第二回石巻競馬の開催については仙台競馬終了後ぜひ開催されたいと騎手連盟その他の要望もあつたが、縣畜産課でも打續く競馬のため事務山積このため「石巻市が全責任をおうなら」との條件が生れたが市では市議會にもはからねばならぬので下旬には間に合わず、結局今回に限り取り止めとなつたものなお競馬協會では來春までに馬場の整備を終えて次回にそなえる豫定


昭和24年→