石巻競馬関連資料集
 └新聞記事:昭和31年(1956年)

「市庁舎全焼のおかげで 今年の競馬は中止」(『石卷新聞』3月18日)

本年第一回の石巻市営競馬運営委員会は十六日午後二時から市農協二階の農林課仮事務所で開き、明三十一年度の市営競馬開催について協議した結果、市役所火災[註]による事務整理その他の復興が先決となつている状況から同年度の開催はとりあえず中止することに決定した、市では毎年春秋二回の開催で各六百万円合計一千二百万円程度の馬券売上げ収入を予定して年度予算の歳入に見込んでいたが、今回の中止でこの“空財源”削減による三十一年度予算更正を余儀なくされることとなつた、なお競馬場施設は今までどおり管理人に管理させる
◇佐藤市農林課長談−運営委員三十六名中七名だけが出席したが、市役所火災でいつ市事務が軌道に乗るかもわからない状況下に競馬をやるということは差控えるべきだとの意見一致で中止ときまつたもので当然のことと思う

[註]3月13日未明に出火、夜明けまでに市庁舎が全焼。石炭ストーブの不始末が原因とみられる。競馬関係の資料も全部燃えてしまったんだろうなあ。

「市營競馬復活を採択 損した場合組合で補充」(『石卷新聞』5月22日)

第二回定例石巻市議会の最終本会議は十九日午後二時二分開会、さる三月の教職員定期異動で市教委事務局教育課長となつた富沢前石小校長を紹介ののち、木下議員から市長に対して、工場誘致条例適用による市税減免措置の取扱い方針に関する緊急質問があり、次いで各種常任委員長から付託議案審議の結果報告が行われたが、請願採択案件中、市営競馬復活についてはにぎやかな論議が集中された、この請願は前県議亀山六三郎氏から出されたもので、審議に当つた産業経済委員会(委員長及川喜一氏)でも相当問題になつたようだが結局、県馬商組合のあと押しで市庁舎再建市営競馬と銘を打つて開催、利益金は全部市に寄付、万一赤字が出た場合は馬商組合が責任をもつて処分するという条件を納得して万場一致採択に同意を与えたので、市当局で細部にわたり検討を加え開催するかどうかの正式態度をきめることとなつた、この市営競馬復活に関する主な発言は次のとおり
(高瀬)もうかれば幸いだが、損したときはそのままでよいのか
(及川産経委員長)当委員会としても相当論議されたが、堀村議員もいてその問題については決して市に迷惑をかけないし、もうけた場合は寄付するとの熱意を披歴されたので採択したものだ
(野村)県馬商組合が全般的に援助するというがこれは市職員の経費を見込んでのことか
確信があれば結構だが、産経委員会がそれだけの話で採択ときめたことはどうか、庁舎焼失で市では帳簿などの整理に臨時職員を採用してやつているのだが、やはり市営となれば市でやることになる、損をした場合の方法なども研究したのか
(及川委員長)その点も検討したが責任者の沼倉組合長の意向もくんで堀村議員が保証の形をとつたので信じたものだ
(吉田泰)去年までの赤字三十余万円という市営競馬だ、赤字を出した場合、はたして民間が補充する義務があるや否や、また補充するという法的根拠をききたい
(吉田忠)私は主管課長にきくが今までの三十余万円という赤字は四年間にわたつてのものであり、そのうちの十万円は前の課長当時の誤払いが原因している、施設に大金がかかるというので二月議会では市営競馬の休止に賛成したが私は継続して貰うことを念願する。仙台市から施設を借りるというが時期などのことも考慮に入れて折衝したのか
(佐藤農林課長)器具などの借入れについては全く白紙だ
(松川)これは開催を業者にまかせて貰いたいというもので、赤字が出た場合は負担するというのだが、もうければ市に寄付するというのだ、この問題については産経委員会だけでなく総務委員会にもはかる必要があるとの声もあつた
(高橋正)地財建法が適用された場合、自治庁の承認を得られる可能性があるか
(三宅)これは当局が調査して不安がなければ採択、不安があればやまればよい
(木下)業者の直営に移される場合、市で出納事務をやれるかどうか
(島収入役)それはやれない
(畠山)馬商組合から二十名ぐらいの人員を応援に出すから適当に利用してほしいとの申入れもある、これは執行に移されるときに市当局に一任されるべきものだと思う、赤字を前提としなくとも決して悲観的なものではない
(二見)議会で採択したものを全部やるというものではないので賛成する
(稲井議長)当局もこの点を充分調査したのち確信をもつてやるというのだから委員長報告どおり通したい

「競馬は二カ月間の廢止 復活採澤に市當局は困つた表情」
さる二月定例市議会で「今年度はとりやめ」と満場一致できめた石巻市営競馬が十九日本会議で採択されたので市当局内部には困惑の色が濃い、議会は採択に決しただけであとは当局が検討のうえやれないと思うのならやらなくともよいという形のものだが議会がきめたものを当局がやらなければあとのタタリがこわいといつたところが複雑微妙なかには「開催してもうけた場合は全部市庁舎再建に寄付、損が出れば馬商組合が責任をもつて負担するというのだからどつちにころんでもケガはない」との意見もあるが二カ月前にきめたことをアツサリひるがえした議会側の態度に市民はいささか面をくらつた形で見守つているようだ、当局の一部には「損しても馬商組合が約束どおり赤字負担を履行しない場合は結局民事訴訟にいくのではないか」とマユツバの心配をのぞかせているが一方“立役者”の堀村弘議員はこのイキサツについて次のように語つている
◇堀村市議の話=農林省の競馬規定で来る九月までに開催しないと市営競馬はとり消しとなり、来年改めて申請するというややつこしいことになる、今までの赤字三十万円というのは誤払いなどが大きく響いたもので帳簿上はそのような計算になるだろうが、施設物件を用意した額とニラミ合せれば実質的に黒字だ、市では地財建法の適用を受ける矢先にあるので今回市営競馬をやらなければ永久に廃止されるおそれもある、馬商組合で責任をもつことについては近く組合長と市当局の話合いで正式にきめ、決して批判されるべきものではないことを市民にわかつて貰うようにしたい

「石巻市営競馬の復活は 立ち消えの公算大」(『石卷新聞』5月31日)

さる十九日の第二回定例石巻市議会最終本会議で産経委員長の報告どおり採択した市営競馬の復活は約二カ月前の議会で今年度廃止を議決して間もないだけにいろいろ市民から批判されたようだが「採択ときまつたが、やるかやらぬかは当局が充分検討のうえ措置されたい」との趣旨も市当局側からすれば迷惑至極といいたい存在でそのままタナ上げの形なら、議会ではメイ論で復活を力説した議員サン方からもその後市営競馬について話が出た気配もなさそうで立消えの公算大となつてきた、看板は市庁舎再建寄付金募集という立派なもの、黒字が出れば寄付、万一赤字の場合でも県馬商組合が責任をもつと渡りに舟の好条件なのにその後一向に話が出ないのはどうしたわけとイブかるむきもあるが正直なところ市当局は目前の地財建法適用問題やら庁舎復興起債獲得で首脳部はじめ腰が落着かぬ有様でそれどころでないという口ぶり、あの復活採択は同僚議員の切なる願いをアツサリ断るわけにもいかぬとあつて同志的仁義をたてた程度のものだろうとのうがつた見方も生れている。

「石卷市營の競馬復活は 技術的に困難な模様」(『石卷新聞』6月5日)

石巻市の定例課長会議は四日午前十時半から市長室で開き、まず地財建法適用申請の自治庁承認報告を中心に今後の市政運営について協議したが、そのあと佐藤農林課長から市議会採択のままとなつている市営競馬復活について意見を求めたい旨の発言があつたこれに対して市で主催する場合は主管課の農林課以外からも約二十人の応援を待なければならないが、市庁舎焼失による各課の分担執務書類整理でいそがしいときでもあり、これをなげてまで競馬に応援をくり出すことは困難との見方や県馬商組合に人事の応援を受けてもやはり従来の経験者がやらなければ実施はむつかしいとの意見も出て結局復活開催は技術的見地からも困難であるとの見とおしのまま散会した

「競馬は復活の模様 馬商組合から百二十万円寄託」(『石卷新聞』6月21日)

市営競馬の復活を希望する県馬商組合の沼倉組合長ほか役員が二十日石巻市役所に長川助役、佐藤農林課長をたずね保証金百二十万円を赤字補充に充当するという条件で市営競馬の開催方を陳情、保証金百二十万円を寄託した。市当局は馬商組合の陳情内容を二十一日開催予定の競馬運営委員会にかける方針だが、盆をあてこんだ競馬の開催は計画どおり運ぶものとみられている馬商組合の計画では開催日取りは盆の八月十一、十二、十三の三日間、中休みのち、同十七、十八、十九の三日間前後計六日間の日程としたい意向であり、赤字がでても馬商組合の負担の条件から簡単に“競馬復活”となるだろう−と関係者はみている

「市営競馬を復活内定 石卷 馬商組合寄託が條件」(『石卷新聞』6月22日)

石巻市競馬運営委員会は二十一日午前十時から桃牡教育会館で開き県馬商組合からの陳情にもとずき協議した結果、保証金五十万円を寄託することを条件に市営競馬を復活させることに意見一致、最終市議会に追加提案の運びとなり、復活市営競馬は予定どおり実施される見込みである。馬商組合は最初百二十万円を寄託する予定だつたが、その後運転資金その他の事情から競馬の赤字は五十万円を超過することはないだろうの予想から保証金は五十万円に押え、利益があつた場合には保証金をひいた金額を市に寄付万一赤字の際は同組合で補てんすることに話合いがついたもの。委員会でこれを諒承したので市議会にはかり最終決定される

「競馬復活は有難迷惑 孤軍奮闘の農林課 円滑運營があやぶまれる」(『石卷新聞』7月12日)

市庁舎再建、地財法適用と頭痛ハチ巻の石巻市ではさらに八月十一日からはじまる市営競馬の準備に着手したが、市首脳部が一さいノー・タツチの有様ならこの“厄介物”をおしつけられた農林課だけがシブい顔で完全なママ子扱い「この忙しいときにとんでもない仕事をふやしてくれたものだ」とコボしている。過般の市議会では県馬商組合が保証金五十万円も積むことだし、それに赤字が出た場合も背負つてくれるというのだからやつてもよいサと一決したわけだが、この五十万円も現在のところ二十万円の内金が入つただけ、また市農協組から運営資金百五十万円借入れの件も市が勝手にきめたことで公式な申込れは受けてないと組合側では語つておりまずは八方破れのかまえで開催にこぎつけることと相成る模様である、とくに農協幹部や市内農家が今回の市営競馬復活に原則的に反対しているのは今でさえ書類帳などの焼失で何かといそがしい農林課がこの競馬でさらにゴタゴタすれば収穫前の連絡がとれず不便をきたすというもので「市長サンは就任当時市営競馬などというバクチみたいなものは廃止するといつたが、やはり議会のいうことはきかなければならないものですかネ」とチヨツピリ山内市政の痛いところをついている、十日馬商組合と市農林課が開催について打合わせた結果、組合側では四十数台の馬車をくり出して早速場内走路の整備にとりかかることになつたが、開催期間中は市から二十五名の応援が毎日つめかけねばならず、それに焼失消耗品の用意などあと一カ月以内の期間にどれもコレもといつた状況で「実際は不可能に近い」と担当係でさえもネをあげてる仕末、黒字、赤字はともかく満足にやれるかどうかを心配するむきが強いようだ。

「石巻市營競馬 ポスターで宣傳」(『石卷新聞』8月1日)

売上八百万円を目標にした復活石巻市営競馬は八月十一、十二、十三、十七、十八、十九の計六日間開催ときまり、市ではポスター八百枚と県内外各地に配布して宣伝につとめている。市庁舎火災で肝心の書類帳簿、備品などを焼いてしまつたため目下その調達に大わらわだが、準備はどうしても開催当日までかかる見込みとあり、また期間中は山形、盛岡の競馬とカチ合うので出場馬の石巻誘致に馬力をかけ、少くも百頭前後の申込みは確保したい方針である。
【写真】できあがつた市営競馬のポスター


町村短信「競馬場を整備」
石巻市営競馬は十一日から六日間開催されるが、市と県馬商組合石巻支部は一日から一周間の予定でヒバリ野競馬場の走路など施設整備の作業を行う。

「あしたから 石卷競馬開催」(『石卷新聞』8月11日)

とかくの批判を浴びた復活石巻市営競馬は県家畜商組合のシリ押しで、明十一日午前九時から行われる開場式に続き、同十一、十二、十三、十七、十八、十九の計前後六日間開催のフタをあけることになつた、最初は大いにムクれ返つた主管の農林課もこうなつては命令どおりにやるよりほかはなしとハラをきめて準備にかかつた結果どうにかお膳立もそろい、あすの初日を迎える段どりだが、赤字黒字は天候次第とお空をニラんでいる、期間中は山形県上ノ山と岩手県盛岡の競馬とカチ合うため、県内外出場馬の誘致に影響してはと心配したが、意外に出足はよく埼玉県浦和市からはせ参ずる組や水沢方面からなどで目標にわずか三頭がかけただけの百十七頭が集結馬体検査も終了して万事OK、佐藤農林課長は「地方の人気は非常によいが、札束を張るプロ級の競馬フアンを上ノ山にとられる心配がないわけでもない、ともかく馬券売上げ八百万円の目標は確保したい」と語つている、開催六日間は応援も含む市職員二十名とアルバイト九十九名が毎日場内整理や事務に当たることになつているが“本当”の主催者の立場にある県家畜商組合は市以上の熱の入れ方で、完全黒字を目指し、アレコレと文字通りの馬力を発揮している。

「第一レースからアナ 天候回復で景氣ずいた石卷競馬」(『石卷新聞』8月12日)

辛らくも復活した石巻市営競馬は十一日開幕した。天候が回復したため近在の農村からザツト一千五百名の競馬フアンが押かけ馬場を白一色に埋めて大賑わい。早くも第一レース二千五百メートル速歩には連勝六千九百円、単勝一千四百円のアナが現われ競馬フアンをわき立たせた。主催者側では初日の売上げを七、八十万円と予想している。この日午前九時からの開場式には島収入役、佐藤農林課長が出席、百十七頭の出場馬がズラリと整列してその勇しい風景に集つた子供たちは大喜び。雲が飛び青空がみえてくるにつれ見物客もふえ、第一レースが開始される午前十一時ころには一千五百名の人々が右往左往。予想屋のガナリ声や馬券発売のベルの音ですつかり興奮したふん囲気をかもし出していた。この分ならどうやら黒字と県馬商組合も大張切り。第一レースの売上げ二万円にフアンの財布のヒモは固いようだと診断しながらも初日は七、八十万円は出る見込みと鼻息の荒いところをみせていた。一方馬券売場で働く市職員二十名とアルバイト男女高校生ら九十名は馬券勘算や札束を握つて汗ダク。場内興奮のなかで「競馬で一かく千金を夢みる人々の目のイヤなこと」と批判するバイト生もあり、“中年の太陽族だ”と笑つてもいた。なお十二日の日曜日は初日の三倍の人出が予想される
【写真】白熱のレースぶりと南浜町婦人会の売店。



「モグリ露店に穏便な處置」
石巻市営競馬の人出を当込んでヒバリ野競馬場のなかには運営資金をひとかせぎしようという南浜町婦人会のタバコ、アイス・クリーム売店や氷屋さんなどの一般露店がズラリと開業折よく十一時ころから天候が回復して暑さがきびしくなつたため満員の繁昌ぶりだつた。しかしほとんどがモグリ営業で臨時露店取締りのため訪ずれた石巻保健所係員二名は次々にそれを摘発、十四件のモグリ営業を発見した。結局せつかく開店したのを営業停止させるのも可コクだと不衛生な施設を改善させ許可はあとまわしで営業を認めた。

「馬劵の賣上も 上乘の競馬」(『石卷新聞』8月14日)

十一日フタあけした復活石巻市営競馬は二日目の日曜とも好天に恵まれて幸先きのよいスタートをきつたがとくに十二日はザツと四千人の人出でにぎわい、馬券売上げも初日の七十七万九千八百円に対して百二万一千六百円とハネ上り関係者を喜ばせた、昨年十月の秋競馬のときは初日七十七万四千四百円、二日目(日曜)百八万二千二百円で六日間計六百四十四万九千三百円という成績に比べ、今年も前半二日間はほぼ同じぐらいにいつているので目標八百万円はのぞめないにしても総体的には昨年同様黒字トントン程度にいくのではないかとみられている、なお二日間を通じての大アナは初日第二レース速歩連勝の一万七千六百四十円と二日目第一レース同一万五千六十五円の二本でともに場内をわかせたがが県外馬は十頭内外だけなので大金を張るプロがあまり姿をみせず後半三日間でどの程度のアナが飛び出すかが興味の的となつている、なお十二日午前十一時ころの第三レースで発馬機が故障し、騎手一名が目の前のゴムひもが上らずそれに首をひつかけて転落するという事故があつたが、別に大したことはなくすみ、レースを続行した

「石卷競馬 後半に期待」(『石卷新聞』8月15日)

石巻市営競馬は十三日で前半三日間の幕をとじ、さらに十七、十八、十九の後半三日間の開催を迎えることになつた。好天に恵まれた前半の馬券売上げ成績は初日の十一日が七十七万九千八百円、十二日百二万六百円、十三日七十三万七千七百円の合計二百五十三万八千百円で昨年十月開催のときの前半三日間に比べてわずかに二万八千二百円の増といつたところ、目標八百万円にはあとの後半三日間でザツと五百四十万円を売上げねばならないわけだが、前半の経過をふりかえつてみてとても期待は困難で六日間合計で六百万円前後の黒字トントンぐらいが関の山と関係者はみている。しかし後半開催にはすでに終了した岩手県盛岡市営競馬の出場馬がそろつて来石出場の予定とあり、花巻方面からも問合わせがあるので意外に人気を盛り上げるのでないかともみられ、黒字決算に希望をつないでいる。なお十七日からの後半三日間レースには次の副賞が優勝馬に贈られることになつた。
県知事、市会議長(稲井三治)同議会総務委員長(渡辺喜久雄)同産業経済同(及川喜一)商工会議所会頭(西条芳次郎)パルプ工場長(若林繁雄)市農協組合長(草刈清治)蛇田同(斎藤政記)市農業共済組合同(渡辺勉)石巻農林駐在室長(佐々木幹夫)丸光デパート、その他

「農業關係の團体から 市営競馬反対の声」(『石卷新聞』8月21日)

本年第一回の石巻市営競馬は六日間合計五百八十八万五千八百円の馬券売上げ成績で十九日終了したが、最近市内の農業団体間につよい“市営競馬反対”の声がたかまりはじめ、このため第二回ないし今後の市営競馬開催はかなりの難航を予想されている。まず石巻市農業委員会では十一日からの、市営競馬開催直前の会議で、市営競馬反対を申合せており、また市農協婦人部でもさきに開かれた「市長に市政をきく会」の席上この問題をとりあげ市長に競馬反対を申入れている。
 このように農業関係団体がつよく市営競馬に反対する理由としては、市農林課が毎回市営競馬のさいはその前後三=四カ月を競馬準備や決算に忙殺され、本来の一般農林行政がおろそかになる−というにある。つまり競馬が大事か一般農政が大切かという点に反対理由があるが、このため佐藤市農林課長は二十日午前山内市長に競馬結果を報告すると同時にこの問題をも説明した。農業団体から市当局にまだ正式な反対申入れはないが、このような空気ではアツサリ開催は至難だと市当局は語つている。
▼佐藤市農林課長談=農林課の主力を長期にわたつて競馬にだけ振り向ける−というのが市営競馬反対の理由のようだ。まだ正式に市当局へ反対申入れはないが、このような空気では今後の市営競馬開催も簡単にはいくまいと思つている。

「順當な賣上 石卷競馬終る」
十一、十二、十三と十七、十八、十九の計六日間行われた三十一年度第一回石巻市営競馬は、最終日のきのう一日で馬券百七十一万余円を売つて閉幕したが、六日間の馬券総売上げ高は五百八十八万五千八百円市の目標八百万円にはほど遠いが赤字はどうやら免れる成績となつた。昨年五月の四百三十二万七千円、同十月の六百四十四万九千三百円にくらべ大体順当な売上げ高といわれている。こんどの競馬は市当局がはじめ財政難を顧慮して「市営」に難色を示し、これに対し馬商組合はあくまで開催を要請し赤字出来のさいの用意に五十万円を差出すほどの熱意を示し再開にこぎつけたものだが、五百八十八万余円の成績なので赤字にはならず、この五十万円も組合側に手つかずで返還できる見込みである。第二回以後の市営競馬についてはまだ未定だが、案外に良い成績をあげたのは台風九号の余波を受けなかつたこと、馬商組合の奔走によると市農林課では語つている。六日間の馬券売上内訳次のとおり(円)
 11日七八〇・五〇〇、12日一・〇二一・六〇〇、13日七三七・七〇〇、17日八二三・七〇〇、18日八〇五・二〇〇、19日一・七一八・二〇〇、計五・八八五・八〇〇

「辛うじて 赤字を免がる」(『石卷新聞』9月9日)

先月開催の石巻復活市営競馬仮清算は七日終了したがそれによると前後六日間の馬券総売上高は五百八十八万五千八百円で黒字若干という程度「あやうく難をのがれました」とは佐藤農林課長の弁、なお近く市営競馬運営委員会を開いてこの成績を詳細報告するが、市では県家畜商組合から“保証金”の形で預つていた五十万円を八日返した

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