石巻競馬関連資料集
 └新聞記事:昭和32年(1957年)

「地財再建法にしばられ 四月競馬見込薄」(『石卷新聞』2月24日)

石巻市では今年も市営競馬を開催するため、佐藤農林課長、畠中技手が二十、二十一の両日盛岡市で開いた東北公営競馬主催者協議会に出席したが、その後総務課と打合せたところ、今年の市営競馬開催は地財法適用による財政再建五カ年計画に含まれてないことが判り、四月競馬は実際問題としてむずかしいのではないかとの見方が深まつてきた石巻市内の競馬フアンは一年間に二回の開催では本当の競馬のウマ味はわからない。やはり庁舎復旧基金募集をかねて年四回やつたほうが効果的でもあるし、相当の収益が期待できると語つているので、この点についても主催者協議会席上、佐藤農林課長から農林省の中村競馬官に質問したが、同競馬官は「庁舎の焼失だけで年四回の開催を認めるわけにはいかないだろう、やはり石巻は原則どおり二回が適当ではないか」といわれた模様である従つて今年も春秋二回という目安がつき馬券売上げ約七百万円を見込む明年度市競馬予算一千五百万円の編成段どりとはなつたが、その後の調査で財政再建計画にも含まれておらず結局自治庁の事前承認を得るか、計画変更を申請しなければならないハメとなりアレやコレやで予定の四月競馬開催は見込み薄となつたもの。四、五月中に東北各地で春競馬を実施するのは仙台一カ所だけで競走馬の手配も容易なわけだが、これが八月ころにのびるとなると各地一せい開催というスケジユールにはさまれ、調整や準備が大変とあつて主管の農林課は頭を抱えている。

「復活市營競馬 七月末開催」(『石卷新聞』5月5日)

市営競馬の復活は最初の財政再建計画に含ませなかつたので今月末定例市議会に財政再建計画の変更申請を提出、それから準備にとりかかるが七月上旬開催の予定がパルプ工場の原木置場造成埋立工事で善海田船溜りからヒバリ野海岸堤防ぞいに排泥管が走つている関係上、馬車や自動車が通れないので同工事の完成まで延期する。なお開催は七月末から八月一ぱいの間に前後六日間ずつ二回、計十二日間とし、一回で八百万円合計一千六百万円の馬券売上げ目標を確保したい方針である。

「勝馬の賞金百六十万円 石卷競馬は七月十月の二回」(『石卷新聞』5月24日)

石巻市では今年度市営競馬を七月末から八月上旬にかけての前後三日間(計六日間)と十月の二回開催することになり、前年度より七百四十八万六千七百円多い計一千五百五十五万六千八百一円の予算を二十七日招集の市議会定例本会議に上程する。七月下旬から開く第一回夏競馬は山形、岩手ともカチ合わず県内では仙台競馬と前後するだけなので県外から参加する競走馬も相当ふえるものと予想され、勝馬への賞金も秋競馬開催分も含めて百六十七万一千円とふん発することとなつた。なお馬券売上げ目標は各七百七十万円計一千五百四十万円で予算の議決を得次第石巻家畜商組合(代表沼倉勝治氏)の全面協力を求めて開催準備に着手する予定である。

「石卷市議会」(『石卷新聞』5月29日)

二十七日午後一時五十六分開会の第二回定例石巻市議会は現・元四市議への永年勤続表彰状と記念品の伝達に続き日程議案の審議に入つたが(中略)全部異議ナシの即決で片づけ、野村議員の日程外質問でアツサリ五時八分散会した。(中略)
◇競馬関係−(太斎)市営競馬に当つて家畜商組合が”応分”の協力をするというのは昨年のように保証金を積むというようなことか。
(山内市長)人夫や事務を手伝つて貰うということで決算で赤字が出たときの埋合せをするとかハツキリしたことではない。ただくわしいことは組合側と協議中とのことでまだ報告は受けてない。
(及川勝)競馬は財政再建で一時中止ときめたものの昨年一回やつた。市長は年中行事云々…というが市の態度はハツキリしていない今後も続行してやるのかどうか。
(市長)年中行事というのは市民がそう考えているわけで、今後のことはその理由によつてやることにきめた。
(高橋)前は保証金を積んでこんどは形に現われないが一回黒字を出してみせたからか。
(太斎)市長は今年二回やるといつたが、いろいろな批評もある。ある競馬関係者は「赤字のときは埋合せる」と語つていたが、それならばやはり前のように確約をとつてから予算を組んでもよかつたのではないか。
(青柳)市の現状からいつて好ましいことではないと思うが、やるかぎりはやはり協力業者から確約をとるなりすべきだ。もしそうでないのなら最初から赤字の覚悟をきめてかかるべきで、他に財政の裏付をさせてまでやる必要はないはずだ。(かくて本年度競馬予算は委員会付託と決定)

「市当局の意志を尊重して 寄付も競馬も承認 石卷市議会」(『石卷新聞』5月30日)

石巻市議会の予算特別委員会(委員長今野亀雄氏)は二十八日午前十時半から開き、予算関係議案五件のうち、三十二年度市歳入出追加更正予算から審議を開始したが市当局の説明をめぐり木下委員が決算見込額で六百七十万円の不要額(予算にのつていても使わないですんだもの)を生じたことは極端に諸経費の節約を強いたためではないかと主に教育費を中心に質して相当時間を費やしたほかは市庁舎備品一千万円の新規寄付募集と市営競馬開催問題に論議が集中した。(中略)さらに競馬予算ではこれまた開催の可否からはじまつて最後は”赤字になつたらどうする”との不安論に終始した。しかし市当局は寄付にしろ競馬にしろやらねばならぬの方針はくずさず「あくまでも誠意と確信をもつて」とか「絶対黒字を期して…」で、もつぱらきりぬけ、同三時四十分引続いて開いた本会議でも予算委員に加わらなかつた青柳、及川(勝)両議員が再度同じ疑点を質問した程度に止めて当局の意志尊重にふみきつた結果、いずれも今野委員長報告どおり原案可決、今議会の上程議案十七件全部を終了して同四時三十七分閉会した。寄付募集と競馬開催で論議をつくした予算委員会の主な発言は次のとおり。
(中略)
◇競馬開催
(高瀬)このようなトバク行為が教育的見地からも全国で婦人団体などに反対されている。それが財政の補足の一策としてやらせているわけだが、はたして石巻がこれに合うかどうか、むしろ観光事業に力を入れたほうがよい。競馬の盛んな福島県でさえ近ごろは赤字を出してきているが、市長はあくまでも奨励する意志か。
(三宅)−関連質問−全国的に反対というが、日本より教育的なアメリカ、イギリスでもやつておりことに英国女王は大好きだという一人石巻だけが教育的ということもむずかしい(笑声)人気がわくということは景気不景気を左右することにもなり、むしろ損得なしにこれがやれる、損したら家畜商組合が責任をもつというのだからそのお膳にすわつてもよいのではないか(笑声)
(高瀬)外国は娯楽としてやつているのであり、経済的に恵まれている。馬産奨励などはなんの縁もない。
(三宅)それならもう一つ、外国でさえ娯楽の一つに入つているのだからなんの楽しみもない石巻ではそれぐらいの娯楽があつてもよいと思う(笑声)
(市長)本会議でもきかれたことだが今後川開と同様に年中行事として継続してゆきたい。また運営委員会からもぜひやつてくれとの要望があつたし、南浜町では男女を問わず協力することになつた。また家畜商組合では万一欠損が出たときは弁償するというあいさつなので農林課の事務の障害も極力解消するよう善処するつもりだ。
(高瀬)それならば組合からハツキリした条件なりを書類で貰つてやるべきだ。
(木下)地方競馬法によるとその目的は地方財政に資するためとだけ書いてあり、馬産奨励がどうのこうのということではない。
(安田)協力業者がやはり一札入れるべきだという意見も出たが、まずこの予算内容をみて節約できるところがあるのではないか。
(佐藤農林課長)−予算内容を説明−実際に一回の開催期間中に七百七十万円の馬券が売れないでこの予算どおり執行すれば必ず赤字だ。従つて極力節約できるところはそうやつてゆきたい。
(木下)七百万円も八百万円も動かしてモウからんではダメだ、何か目標を立ててやつてほしい。

「記者席から」
○…競馬開催の可否問題から委員会はようやく活気づいたが、掛合い漫才さながらの一席もあつた。蛇田はあまり馬にご縁がないせいか高瀬委員が教育上きわめてよろしくないと真向上段にふりかぶれば、傍聴席の堀村議員が乗馬ズボンをこすりこすり一大事と落着かぬ表情で腰を浮かせる。
○…これをみかねた三宅さん「アメリカはもとよりイギリスの女王までが熱心だ。」と笑いながらの助け舟、しかし「私は競馬は好まない」高瀬さんもヤリかえすなど石巻競馬も国際的なダービー同様に格上げとなる。
○…最後に木下委員が乗り出し「目的は、地方財政に寄与するためのものであるのに、それが馬産奨励だのなんだのと勝手なヘ理クツをつけている」とやりはじめたので当局側は早くも”台風来襲”を予想してゴクンとツバをのむ。しかし「市長サンそうでしよう」とジロリみられた山内市長が「おかげさんでよくわかりした」と満場を笑わせておさまる。

「ことしの石卷市營競馬は 9月15日から6日間」(『石卷新聞』8月21日)

今年の石巻市営競馬は九月十五日から二十三日まで中三日間をおいて前後六日間開催するに決定した市農林課では十九日午前十時から課内打合せ会を開き、総務、資材、馬場、宣伝四係の事務分担をきめるとともに開催準備日程を作成、予算一千五百万円で行う市営競馬に万全の手はずを整えた。各係の事務分担と開催までの準備日程は次のとおり。
総務係−小野寺辰三郎、佐藤繁雄、及川与市((1)各関係機関への諸手続き(2)副賞関係の手配(3)開場式の準備(4)従事員の確保と配置(5)諸会議の開催)資材係−藤原悟、大場保、藤田孝((1)印刷物の手配(2)消耗品同(3)競走用具の借り上げ(4)諸用車の準備)馬場係−畠中廉平、神部俊夫((1)走路補修(2)現場の施設整備(3)発馬機や各種掲示札の整備)宣伝係−鈴木弘、浄沼知賢((1)ポスター発注(2)出場勧誘(3)移動宣伝(4)広報関係)
▽開催準備日程 二十三日(番組原稿の印刷回送)二十四日(競馬場走路や建物補修設計の樹立)二十五日(従事員募集手続き開始)二十六日(開催報告書の提出)二十七日(馬券、諸印刷の発注)三十日(仙台、盛岡競馬場へ出張、出馬勧誘宣伝)三十一日(家畜商組合との打合せ会)九月一日(走路や建物補修の開始)二日(競馬運営委員会開催)三日(宣伝開始)五日(市内宣伝、副賞関係手配)七日(上ノ山競馬場へ出張、出馬勧誘宣伝)十日(案内状発送)十二日(仙台から用器具運搬)十三日(馬体検査)十四日(執務予行演習)

「市營競馬開場式」(『石卷新聞』9月12日)
石巻市の本年度第一回市営競馬開場式は十五日午前九時からヒバリ野競馬場で挙行。

「石卷競馬は 準備全く整う」(『石卷新聞』9月14日)

十五日開幕する本年度第一回石巻市営競馬で、県外から申込みのあつた出場馬のうちすでに三十頭は石巻に到着、きよう十三日の馬体検査、あすの騎手試験で県内馬とも約百頭が出そろうが出張宣伝隊もきようで活動を終え、あとは好天を祈るばかりとなつた。
ヒバリ野競馬場もきよう中に整備作業を完了するが、一方あて込んだアルバイト作業員は二学期がはじまつたせいか学生層は少なく男がタツタ三人、一般女子八十人という毛色の変つた陣容だけにアレコレ指示する係員もチヨツとやりにくそうな表情。ともかく十五日から十七日まで、三日間なかを休んで二十一日から二十三日までと前後計六日開く第一回開催でどうあつても六百五十万円の馬券売上げ目標は確保したいと天候に気を配つている。


(広告)(『石卷新聞』9月15日)

「開設以来の好記録 滑り出し上々の石巻競馬」(『石卷新聞』9月17日)

今年度第一回石巻市営競馬はヒバリ野競馬場で十五日午前九時から開場式を挙行、引続き県外馬二十一頭を含む計八十六頭が来る二十三日まで前後六日間にわたるレースの幕を開いた。年よりの日と市内学校の運動会がカチ合つたため初日の出足を心配されたが、天候にも恵まれ上乗の競馬日和とあつてはるばる仙台方面からきたフアンなど約二千人が十二レースに一喜一憂の声援をおくつたこの結果同日の馬券売上げは百十万九千二百円と市営競馬開設以来の好成績なら八レースでは三千百十円の小アナが出るなど幸先のよいスタートを切つた。とくに県外馬は新潟をのぞく東北五県からの出場とあつて期待が集り、競馬ならでは見られぬ札束をきるフアンの姿もみられたが、一方主催者側で雇入れたアルバイトがなれぬため窓口でまごつき誤払いもあつた模様である。バイト八十三人のうち男は、タツタ三人なのではたして賞金払い出しが間違いなくやれるかどうかは前から関係者間で心配されていたという。
◇市農林課の話−十三カ月ぶりの復活競馬なのでフアンの期待を集め、初日の売上高では開設以来の記録を作つた。誤払いのあつたことも事実だが、最終にならなければ百%の精算はできないので額のことはまだわからない、

【写真】初日のレース

「誤拂い五千円 石卷市營競馬で」(『石卷新聞』9月18日)

石巻市営競馬二日目の十六日は初日に比べて客足が半分に落ちザツと八百人、馬券売上げ高も同様五十九万七千三百円に止まつた。同日は期待されたアナも出ず本命の予想どおりとなつたが、市農林課では「これからの天候にもよるが今のままだと黒字への期待は薄い」と語つている。なお二日間を通じてアルバイトの賞金誤払いは約五千円だという。

「雨で競馬中止」
三日目石巻市営競馬のきよう(十七日)は雨のためとりやめた。天候が回復すればあす開催する。

「競馬の前半は不振 後半ばん回に一苦労」(『石卷新聞』9月20日)

今年度第一回石巻市営競馬の前半三日間は十八日で終え、二十一日から三日間後半開催となるが、市農林課で決算した前半三日間の成績は馬券売上げの二百二十三万二百円、入場料などの収入一さいを含めても二百二十六万五千四百円にしかならず、当初目標二百七十万円を約五十万円も下回る結果となつた。初日の馬券売上げは日曜という好条件に恵まれ、百十万九千二百円と幸先のよいスタートを切つたが、二、三日目は天候が思わしくなくともに五十万円台に下り、赤字は避けられないような雲行になつた。佐藤農林課長も「後半の三日間で四百万円を売上げなければ黒字にならない」と悲観的な見方をしておりこの調子では黒字どころか赤字を積ねる結果になりかねないと早くも市首脳部はばん回策に一苦労という表情である

「石巻競馬 十四・五万の赤字 前半の悪天候がたたる」(『石卷新聞』9月25日)

本年度第一回石巻市営競馬は二十三日で前後計六日間の開催を無事終了したが、馬券売上げ成績は当初目標六百五十万円を下回る五百三十一万一千円に止まり結局、十四、五万円の赤字を生む結果となつた。しかし雨にタタられた前半三日間と違つて後半は好天の連休というベスト・コンデイシヨンも重なつてまずは上々の部類というところ、ただ山形、水沢両競馬とカチ合つたため、県外のフアンの姿はみられず、地元フアンだけの競馬となつたが、市農林課では「これが純然たる地元フアンだけによる売上げの限界でしよう」と語つている。前後六日間を通じての大アナは前半最終日の一万四千九百五十円(二票)と二十三日同一万七百八十(同)だつた。なお売上げの内訳は次のとおりだが第二回競馬は十月十二日から再開する。市では「是が非でもこれで赤字を回復したい」とのぞみを托している。
 ◇前半−初日(一、一〇九、二〇〇)二日目(五九七、三〇〇)三日目(五二三、七〇〇)
 ◇後半−初日(七八一、〇〇〇)二日目(一、一三九、〇〇〇)三日目(一、一五九、九〇〇)計(五、三一〇、一〇〇)−単位円。

「北上抄」(『石卷新聞』9月28日)

果せるかな石巻市営競馬の実績に対し、市民の批判がチラホラきこえはじめた▼こんどの市営競馬は六日間の馬券売上げ合計五百三十一万円で、市の目標六百五十万円にまだ間がある。このため決算では十四五万円の赤字が心配されているが、赤字におびえながらなぜ市営競馬をやらねばならぬのか…というのが市民の声のようだ▼六日間のうち三日は売上げ百万円を越した。天候と休祭日に恵まれて、市も必死の追込みを試みたが、やはり”限界”以上は伸びなかつた。十月中旬にまた市営競馬を開催するので、これと合せればナントカ赤字も減らせよう、と市では期待しているが、どうやら空頼みに終りそう。第二回目で黒字を生むという根拠はナニもない、赤字の方なら確実視?されるとシロウトからは見立てるのだが…▼むろん市農林課の人々のご苦労は察するに余りある。赤字を心配しながら六日間をブツて、心身ともに疲れ果てた姿をヒバリ野競馬場でよく見受けたが、その故にこそ市営競馬の再検討が必要じやないのか、と申上げたい▼なにも競馬そのものを頭から否定はしないが、やるなら赤字にビクビクせず十分な計画と宣伝で黒字ホクホク、しかも謳い文句の「馬産奨励と地元振興」もできるよう、態勢をととのえてはいかが。ヨソの開催地のように、競馬で市財政をウルオすなンてのにはまだまだ遠いようだ。

「町村短信」(『石卷新聞』10月12日)
▼第二回競馬 本年度第二回石巻市営競馬の開場式は十二日午前九時からヒバリ野競馬場投票場前広場で挙行。

「千円劵(連勝)も発売 市營競馬 売上げ増に背水の陣」(『石卷新聞』10月13日)

ことし第二回目の石巻市営競馬は十二日開幕、午前十時から開場式を行つた。市から長川助役も列席、馬券売上げ六百五十万円を期して三日間の運だめしに滑り出したが第一回の馬券売上げで赤字の心配も出たというだけに主催者側はいづれも緊張した表情、とくに今回は連勝式に千円の「大口券」も発売して売上げ増をねらつている。出場馬は八十九頭、この三日間好天が続いてくれれば…と主催者側は秋晴れ連続を祈つている。

【写真】開場式

「市營競馬實地監査」
農林省では馬政局係官を石巻に派遣、十二、十三両日の第二回市営競馬を実地監査する。

「やつぱり赤字…? 石卷市營競馬の出足不調」(『石卷新聞』10月15日)

本年度第二回石巻市営競馬は秋晴れに恵まれ、十二日開幕したが案外競馬フアンの財布のヒモは固く、十二、十三の二日間の売上げは計百六十三万二千九百円にとどまり、土、日曜と絶好のコンデイシヨンに期待していた主催者側をガツカリさせた。
第一回の売上げ不振に頭を痛めた市では十二日第二回開幕から一枚千円の馬券を発行、大いに競争心をアオりたてたが、十二日は六十四万八千四百円、日曜十三日は九十八万四千五百円とノビ悩み、日曜だけで百二十万円の売上げを当て込んでいた胸算用は見ンごとはずれる結果となつた。アナは初日二万九千六百円(二票)一万一千百二十円(五票)、二日目は六千六十円(二票)、五千百七十円(五票)と現われたが、総体の売上げがこの調子ではなんにもならぬと市農林課ではゲンナリした表情、きよう一日とさらに十八日から再開する後半三日間が思いやられる…と早くも赤字競馬の占いをたてている。

「三日間で二百万円 石卷競馬の馬券売上げ」(『石卷新聞』10月16日)

本年度第二回石巻市営競馬の前半三日間は十四日で幕を閉じたが、この開催三日間の馬券売上げは初日六十四万八千四百円、二日目九十八万四千五百円、三日目八十万一千九百円の合計二百四十三万四千八百円となり、九月の第一回開催前後六日間の売上げ五百三十一万百円と合せ売上総額は七百七十四万四千九百円となつた。きのう前半最終日では第一レースで一万二千四百円(一票)のアナが出たが、案外に買気はなく主催者をまたもやガツカリさせた。このため中旬再開の後半三日間ではどうしても三百七十万円を売り、前後六百万円の実績にしなければトントンにならず、しかも第一回開催分の赤字を消すためにはさらに四、五十万円の売上増を見込まなければダメとあつて悲観的な見とおしが強い。
◇佐藤市農林課長の話=九月開催分の赤字も埋わせるためには中旬の後半再開三日間で四百万円以上売らなければダメな勘定だ。従来の例からみると日曜で最低百二十万円から百七十万台にのびなければならないのに過般の第一回開催二日間連休の時も一日当り百十万円にしかなつてない。千円券を売り出したりアレコレ方法を講じてみたが、やはりこれが石巻では精一ぱいというところだろう。

「石卷市議会 駈足で異議ナシの審議」(『石卷新聞』10月18日)

石巻臨時市議会の二日目本会議は十六日午後一時四十二分開会、条例改正など前日からの持ち越し分と各種予算関係議案計二十五件の審議を行い関連質問で水道滅菌装置による薬品投入過剰の影響や市営競馬の赤字対策が問題となつたほかはいずれも即決、または委員会付託し一しや千里に片づけ、同七時五分散会した。(中略)さらに赤字続きの市営競馬では第二回後半三日間の再開を前に早手回しの赤字対策やら来年度の実施改廃までが飛び出してにぎやかに万場をわかせた結果、どうやら”スピード審議”にしめくくりをつけた形とはなつた。

「赤字競馬の善後策 いま廢止するのは困難」

(別項)二日目市議会で論議を盛り上げた市営競馬赤字問題での主な発言内容はあらまし次のとおり。
(及川勝)競馬開催では関係者が一生懸命やつているようだが、経費もかかるようだ。新聞では赤字の予想をたてているが、見とおしはどうか。
(佐藤農林課長)九月の第一回開催では二回目もやる予定で宣伝ポスター、馬場の補修など一さい区分をしないでやつたため、数字面では相当の赤字だ。三十一万円程度だが、ただし二回目開催準備の経費も含んでいる。走路補修費三万四千円、消耗品二万四千円など計十六万円が第二回準備のものなのでこれを差引くと第一回開催ではしめて十五万円の赤字ということになるが、このうちには計算機や双眼鏡など四万円の備品購入分も入つている。
(近藤)万一欠損を生じた場合、馬商組合でこの分をもつということをハツキリ確認しているが、きくところでは組合では前年同様八月にやるのならともかく今年のように季節が遅れたのでは知らないといつているともきいている。われわれは組合が万一の場合の欠損も引受けるというので賛成したように思う。
(農林課長)私は前に議会で去年同様の形でやるのかという質問にそのとおりと回答した。しかし馬商組合で損失補償も含めて引受けるのかという質問の際はその点遠慮してききそこねたと回答している。その後年間二回の開催日などで運営委員会を開いた席上、組合長にネンをおしたが、組合長は「年二回の開催だから一回目に赤字になつても二回目で黒字が出るようになればよい」といい、それでも赤字の場合は補償を考えているとのことだつた。
(近藤)赤字の場合は全額を補償するというのか、またある程度の補償という言質だけなのか。
(高瀬)競馬復活でわれわれが反対した際、組合が責任をもつということはハツキリしていたはずで課長の答弁は不明瞭だ。議事録を調査せよ。(稲井議長から調査させているとつげる)
(今野)開催に当つて前回同様の形式でやるのかときいたことは欠損を生じた場合でも市に実害を与えない方法でやるのかどうかをきいたものだ。課長の話はこれをニゴしているようだがピンとこなくてはならない。欠損を生じた場合は組合が前回同様補償するということを確約させるべきであつた。
(高橋正)他都市は市のフトコロが苦しくともやつているのか、本当の競馬の目的はなにかもう一度うかがいたい。
(今野)開催については長い間議論のタネになつたが、たまたま後援団体(組合)が市に損害を与えないというのだからそれではやつてもよいだろうと議会も同意を与えたはずだ。ところがやつてきたのをみるともうかつたという話をきいたことがない。しかも財政再建都市が損を出しても補充してもらえるからとはいいながら他都市でやらないものをやることがはたしてプラスになるのか。プラスになるとすればどんな点か。またいつまでもソロバンのとれないものをおつき合でやらねばならぬものなのか。組合と折衝してうまく損失が補充されるならよいが、やはり欠損は欠損と考えるべきなので市長、助役の本当の気持をききたい。−(議会で競馬の好きな人があるからだというようなことはいわないでしようが、ご答弁を…と万場を笑わせる)
(野村)”馬産奨励”でやつているはずだが、なぜ石巻だけが赤字になるのか。これは地の利を得ないからだと思う。また馬産奨励というが石巻市内では馬から牛に切換えられている状況からみてむしろ牛を奨励し、スペイン式に闘牛でもやつたほうがよい(爆笑)当局は過去五、六年の経過をみてきてなお継続する意志があるのか。
(長川助役)従来でもよい成績がないのは遺憾だ。馬産奨励が主なる目的だつたが、地方自治体の財政に寄与するといつた意味合いからみても満足な成績を得ないことは競馬法の趣旨にも沿わない、しかし川開以外に年中行事のない石巻は陰に陽に競馬で対外宣伝をやつて貰つていることも事実だ。またこれで石巻にくる人も多くなりこの面の利益も少くないと考えられる。法にそわないからといつてすぐ廃止することも困難なので今まで継続してきたが、財政の苦しいなかでさらに続けていくときには充分な検討を要する。来年は開催するともしないともいえないが運営委員会の意見をきいて検討し、どうするかをきめたい。
()□□□□□□□□□□は同感。しかし競馬は弊害を伴いやすくたとえば家庭争議なども考えられる。この点をよくくんで来年の計画をたててほしい。
(今野)助役の答弁に満足した。しかし問題はやつてしまつたあとだ。黒字になれば幸いだが赤字の場合は組合に補償して貰うよう最善の努力を要望する。
(三宅)黒字になると市のフトコロに入れ、赤字のときはそつちがもてでも困るだろう。この際は宣伝費を充分使つて全議員が協力し赤字の出ないよう、夫婦ケンカのないよう(笑声)すべきで、赤字よりも黒字を期待して協力することだ。われわれが開催の承認を与えたのだからお天トウ様が照るよう黒字になるようみんなでお客さん集めに努力すべきだ。

「議會記者席」
○…「堀村クンはたしか赤字が出たら前回どおり組合で責任をもつといつたはずだ。いつちようダメ押しをしておかなければ…」の楽屋裏相談がまとまり、競馬歳出更正予算で早速キキメが現われた。四方八方の質問を頭越しに石巻南方にその人ありといわれるセンセイもみるも気の毒なしおれ方。それにしても今ごろになつて騒ぐとは−のカ□□□□

「六十二万余円 石卷競馬賣上(18日)」(『石卷新聞』10月20日)

第二回石巻市営競馬後半三日間は十八日開幕したが、馬券売上げは六十二万八千百円に止まつた。アナは第四レース連勝の二千五百九十円が最高額だつた。

「石卷競馬はついに赤字 その補充が問題になりそう」(『石卷新聞』10月22日)

石巻臨時市議会でも赤字対策が出て問題となつた本年度市営競馬は二十日で全部終了したが、九月の第一回開催から通算した馬券売上高は計一千四十一万九千六百円で目標一千三百万円よりも二百五十八万四百円下回る結果となつた。内訳をみると九月第一回開催前半三日間が二百二十三万二百円、同後半三百七万九千九百円の計五百三十一万百円。また今月の第二回は前半同二百四十三万四千八百円、後半二百六十七万四千七百円の計五百十万九千五百円で九月競馬よりも今月競馬のほうが二十万六百円減つているが、これは季節的に農村地方の一番いそがしいときにカチ合つたためとみられている。市農林課では引続ききようから精算に着手したが、帳尻ではどうしても二十万円前後の赤字は免れない模様。なお赤字処理は前年約束どおり馬商組合でやるべきだという声もあるが、同組合から開催にさき立つて市が一札とつているわけでもなく、また市営競馬の看板に議会が満場一致の承認を与えている関係上、結局は市自体の損失ということになりそうで、来年度からの改廃検討が市民から強く要望されている。今月開催した第二回市営競馬の馬券売上げ状況は次のとおり。(単位円)
 前半三日間−(十二日)六四八、四〇〇(十三日)九八四、五〇〇(十四日)八〇一、九〇〇小計二、四三四、八〇〇
 後半三日間−(十八日)六二八、一〇〇(十九日)八八三、五〇〇(二十日)一、一六三、一〇〇、小計二、六七四、七〇〇
 (合計)五、一〇九、五〇〇
 九月同−五、三一〇、一〇〇

「騎手審判長を蹴る 石卷競馬審判への不滿」(『石卷新聞』10月22日)

本年度石巻市営競馬は二十日で全部終了したが、この日の優勝速歩十レースの判定をめぐつて観衆が騒ぎ出し、結局審判どおりに落着くというトラブルがあつた。問題の十レースは九頭で行われた結果ホシチカラ(伊藤照雄騎手)が一着でゴールインしたが、この馬がゴール間近になつてしばしば走法以外の早駈けをしたというので失格とし、二着のナニワカツリユウを優勝一着にした。ところがこの判定にフアンが騒ぎ出し「失格だ、イヤ失格でない」と二派にわかれて紛糾、さらにフアンの一部が審判台になだれ込んで約一時間近くもんだが、結局審判どおりに決定した。このため日没で残つた十一、十二レースの馬券発売時間を短縮したが、これまたフアンが「もつと長い時間で売れ」と騒げば主催者側もザツと二十万円の売上げがちがつたとボヤくなど、午後五時すぎあと味の悪い幕切れとなつた。なお前日(十九日)には騎手が審判長に暴行して全治十日間の傷を負わせるという事件があつたので二十日朝競馬関係委員による制裁審議委員会を開いた結果、競馬法によつてこの騎手に向う一カ年間の騎乗停止処分を言渡したが、石巻競馬では初の強硬処分である。これは十九日の十レースでS騎手(四四)−中新田−のカツヒメが二着に入つたもののやはり規則どおりの走法でなかつたというので曽根審判長(高清水)が失格を宣し、レース終了後審判台を降りて自動車を待つていたが、そこへS騎手が現われ「失格とはナンだ」と審判長のエリ首をつかみさらに足で曽根審判長の顔をケリ左口近付に全治十日間の傷を負わせたものである。石巻署では二十一日朝、S騎手に任意出頭を求め傷害容疑で取調べたが、こんどの二日間にわたつた不詳事について関係者は次のように語つている。
◇佐藤市農林課長−フアンが騒いだのはレースの判定についてだがやはり審判どおりに落着いた。失格馬に金をはつていたフアンがまず騒ぎ出し、次いで優勝馬になつたほうのフアンがイキリたつたわけでなんとも致し方ない心理だと思う。
◇S騎手−レースのあと酒をのんだので審判に乱暴したことはサツパリ記憶にないが申わけないことをしたと思う。
◇佐藤県競馬騎手会長−主催者がまだなれていないのであのような結果になつたのではないか。ほうぼうの競馬に行つてみるが、よそなら失格にならないことでも失格にしたというような例もあつたようだ。だからフアンが騒いだと思う。

「北上抄」(『石卷新聞』10月23日)

九月と十月との二回、六日間ずつ開催した石巻市営競馬は、約二十万円の赤字予想という結果に終つた。▼それ見たことかと溜飲を下げるわけにもいかない。結局はこの赤字を市が−市民が穴埋めすることになりそうだからだ。二十万円ポツチの赤字…と軽んずるなかれ、むしろこの赤字出来の原因を市民の名において究明せよ、とも開き直りたくなる▼苦しい財政下に、しかも赤字の心配もある市営競馬をナゼ強行しなければならぬのか、と小欄でも再三ご注意申上げていたが、市はこの”自殺的競馬”をブチ続けた▼いつたい開催するからにはそれだけの信念や見通しや、そして何よりソロバン勘定が伴わねばならぬ。市当局にそれがあつたのか。百歩を譲つてどうやら開催となつた場合、かりに赤字出来のさいの保証はどうなつていたか。前回は「黒字のときは市へ、赤字のときは組合で」という条件が馬商組合を市との間にあつたが、こんどはそれもハツキリしないという▼こんなバカな話はない。アヤフヤな気持でアヤフヤな市営競馬をブちしかも欠損のさいの約束もさだかでない。では市のおエラ方は、いつたいこの競馬という行事にどんなアタマで対してきたのか。現在の市財政が、十円でも余計はロスを許されるかどうかいちばんよくご承知なはずなのに…▼市議諸公にも責任の一半がある。こんどの市議会でさすがに赤字競馬問題を論議したそうだが、ご自分たちがソモソモ開催の承認を与えているのである。競馬よりも斗牛を…というメイ論まで出たそうだが、オモシロ半分や”趣味”で市営行事をやつて貰つては困る。まさに冗談ではない、のである▼市営競馬も石巻市政七不思議の一つにランクされそうだ。なぜ赤字と知りつつ開催を続けるのか…これはまさしく、「不思議」である。まさか実力派の競馬ボスがいて圧力をかけるわけでもあるまい。競馬の好きな二、三の市議が「趣味と実益を兼ねて」開催をケシかけるわけでもあるまい。何にせよロスを伴う七不思議など一掃すべきだ▼馬産奨励?地元振興?そしてアガリはゼロで二十万円のダシマエ。この算術が呑み込めない。そして、その公算を知りながら開催強行したシンネンのほどが、一そう呑み込めぬのである。

「審判長を毆つた 騎手を送檢」(『石卷新聞』11月9日)

(既報)石巻署は市営競馬の最終日に審判長を殴り負傷させた乱暴騎手を身柄不拘束のまま取調べていたが八日傷害の疑いで書類送検した。古川市新堀東七家畜商S(四五)だが、さる十月十七日午後四時半ころ第十レースの速歩でS騎手の馬に反則があつたため曽根一雄審判長(六〇)−高清水町東館四三−が失格を宣したことに腹を立て、審判小屋裏手で曽根審判長を待ち受け殴るけるの乱暴を働き全治十日間の傷害を与えたもの。なおS騎手は一年間出場停止処分もうけている。

「競馬の赤字30万円 馬商組合はどれだけ協力するか?」(『石卷新聞』11月14日)

さる九、十の二カ月にわたつて開催した石巻市本年度第二回市営競馬は目算がはずれて約三十万円の赤字を生む結果となつたが、この赤字処理問題で市では近く石巻競馬会、馬商組合の代表を招き、対策を相談する。市民の批判を受けながら開催決行した市営競馬は期待に反した赤字続きから過般の市議会では赤字処理方法が問題となり主管の佐藤農林課長が「馬商組合に昨年同様協力してほしいと申入れたが、ハツキリした、とりきめはしなかつた」といえば山内市長は「馬商組合が赤字が出た場合は負担するというので開催することにした」とクイ違う答弁をするなど不手際をみせた。結局稲井議長は「もちろん市長の答弁のほうが正しいはず」として市当局の善処を要望したが、馬商組合にしてみれば市に一札入れているわけでもないので開きなおればそれまでといつてところ。しかし口約束にしてもある程度の協力を誓つたかぎりでは紳士協定として尊重すべきだとする見方が強く近く開く赤字処理の三者会談では業者側からどの程度の”協力”が得られるかに焦点が絞られることとなつた

今週の話題「競馬の赤字處理」(『石卷新聞』11月19日)

○…さる九月と十月開催した石巻市営競馬の赤字三十万円をどうするかで二十一日市と石巻競馬会、馬商組合の三者が打合せる。市営競馬の建前からすれば当然この赤字はソツクリ市の欠損になるわけである。だがこの競馬には馬商組合あたりの熱心な懇請や運動があつて開催したというイキサツがあるだけに市としては自分一人が損をひつかぶるにもおよぶまいという格好だ。また市民から批判を受けた手前上、甚だ体裁が悪い立場にもあるわけだ。
○…しかし開催に先立つて馬商組合に前年同様保証金をつませるとか赤字の場合を考えて一札を入れさせるとかの手は全然打つてなかつただけに市は困つた表情、開催に万場一致の同意を与えた市議会からは突つつかれるし、市民からは「それみろ」といつた目を向けられているのでこの際、なんとか組合あたりから”応分の協力”を得ないことには立つ瀬がないかたちになつている。
○…組合側としてもこうなつてくると今さらスゲない返事もできないし、それかといつて、何十万円という金の相談だけに折角の大きなハラもみせかねるといつた、アヤの多いカケひきにどうしたものかと、思案顔だ。ここでシリをまくつたのでは来年の開催はオジヤンになりかねないそうすればモトも子もフイになるとなかなかソロバンはこまかいようだ。
○…市営競馬は川開とならんで石巻には続けてほしい行事だ、たとえ競馬そのもので赤字になつたとしても市内に落ちる金はバカにならないという人もある。つまり競馬そのものがバクチの一種だからといいわけもできるが、山内市長は就任任当時にハツキリと「私の信念としてこのようなものはやらないほうがよい」と語つている。あまりあてになる”信念”ではなかつたことがまたも立証されたわけだ。
○…競馬開催ではじめて存在価値が出てくる石巻競馬会、馬商組合の存在からすれば市からの協力呼かけに応じることはほぼ間違いないとみてもよかろう。だがこの”応分の協力”が来年度開催の言質と交換になる可能性がないわけでもない。スツポリ三十万円の赤字を出したからには運営委員会のお歴レキもよく市の財政事情なり、競馬フアンの集る限界などをよく再ギン味してほしいという声が市民の間に多い。

「半分の20万円を負担 競馬赤字と馬商組合の協力」(『石卷新聞』11月23日)

石巻市と石巻競馬会、馬商組合の市営競馬赤字処理打合せ会は二十一日午後二時から市長室に市側長川助役、佐藤農林課長、競馬会側堀村、畠山両市議、沼倉商組合長らが出席して開き佐藤課長から過般の三十二年度市営競馬開催結果報告をきいたのち、競馬場借上料十二万円も含めて赤字約四十万円をどうするかについて相談した。市としては山内市長が市議会で「業者団体が全面的に責任をもつ」と言明した事情もあるところから応分の協力を要請したが、競馬会、馬商組合側は「全額というわけにはいかないが、半分の二十万円を負担してもよい。但しこれはあくまで市営競馬を存続するための前提条件とする」との態度を表明したので、市では競馬継続についてさらにあらゆる角度から検討を加え、追つて業者側に当局の意志を回答することになつた。

「競馬赤字の後仕末は來年」(『石卷新聞』12月6日)

今年度の石巻市営競馬の赤字約四十万円のうち半分の二十万円は協力団体の石巻馬商組合、競馬会が来年度も再開するならとの条件づきで引受けるに一応話合いがまついたが、協力団体からの申入れ検討に慎重を期するため、運営委員会は明年召集、従つてあと仕末は来年に持越すことになつた。

「競馬繼續を條件に 組合で赤字負擔」(『石卷新聞』12月13日)

石巻馬商組合と競馬会では今年度市営競馬の赤字約四十万円の後仕末について協議中であつたがこのほど開いた馬商組合の移動支部長会議で「市で来年度も継続開催するのなら全額負担する」との態度を正式に決定、来る十七日午後一時から市仮議事堂で開く市営競馬運営委員会にはかることとなつた

「赤字さらに増 市營競馬委員會」(『石卷新聞』12月19日)
石巻市営競馬運営委員会は十七日午後一時四十分から市仮議事堂で開き、市側から報告された開催結果による赤字約四十五万円の処理を中心に継続開催か否かの問題について協議したが馬商組合の沼倉組合長不在のため協力団体側の態度がハツキリせず、結局次回運営委員会へ持ち越しとなり同四時すぎ散会した。なお過般の競馬開催結果による赤字は約四十万円と推定されていたがその後の精算でさらに約五万円ふえ四十五万円になつたという。

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