石巻競馬関連資料集
 └新聞記事:昭和34年(1959年)

「競馬の赤字全額負担を 協力團体が果してのむか」(『石卷新聞』2月5日)

石巻市農林課では昨年の市営競馬赤字のアナ埋めについて競馬実施の協力団体である県家畜商組合石巻支部(支部長沼倉勝雄氏)と石巻市競馬施設会社(社長亀山六三郎氏)と近く懇話会を開き両団体が三十二万円にのぼる赤字を約束通り負担するよう確かめることになつた。市営競馬には市婦連、農協団体などから批判の声が上り市当局でも一昨年ころから一時競馬中止へ傾きかけたが家畜商組合や競馬施設会社から「赤字の場合は全額負担する」との約束で継続したものの昨年は八月、二回競馬で、馬券売上げなど総額千百八十二万六百五十円の収入をあげたが馬券払いもどし、人件費がそれを上回り差引き三十二万円の赤字をだした。しかしながらこの赤字を負担するはずの協力団体からいまなお何の音サタもないので市では関係者を集め年度末までに約束を果すよう申し入れることにしたが協力団体は一昨年も赤字を全額負担する約束で競馬を実施させながら赤字四十二万円のうち二十七万円を負担しただけで残り十五万円は結局市が負担しているのでこんもその二の舞となるのではないかと市では心配している。
▼市農林課の話=地財法の適用をうけ市財政の建てなおしをしている最中、毎年赤字競馬を続けるのは自治庁にも聞えが悪いので協力団体が昨年の赤字を負担しない場合には今年は市営競馬を見合せるほかあるまい。

「協力団体は市営競馬の 赤字負擔拒否の態度」(『石卷新聞』2月11日)

石巻市農林課では九日午後一時から市議会会議室で市営競馬運営委員の堀村弘氏や県家畜商組合石巻支部の沼倉支部長、熊谷武氏、私設競馬会社代表の畠山勝雄氏毛利六郎氏らを招き、市側から長川助役、佐藤農林課長らが出席し、昨年夏の市営競馬の赤字処理問題を協議したが、家畜組合支部と競馬会社は赤字を負担しないとの態度を変えず話合いは物分れに終つた
 昨年夏の競馬は八月一日から六日間と同月二十四日から六日間の二回開催し、千百八十二万六千五百円の収入があつたが、雨天にたたられて期間がのびたことやヒバリ野海岸の競馬場施設の一部が火事で焼失したことなどから経費がかさみ、結局三十二万円の赤字を出した。市では赤地続きの競馬を市営で行なつては財政再建中でもあり市民に反対の声もあるので昨年は見合せる方針であつたが協力団体が赤字は全額負担する≠アとを約束したので行なつたものなので九日の話し合いでは市側から約束の実行をせまつたが協力団体側は火事や雨天順延のため生じた赤字は負担できない」と拒否し、話し合いはそれ以上進展しなかつた。
結局、協力団体側が二十日ころまでにもう一度回答してくることにして九日は散会したが市では三十二万円の赤字を協力団体が負担しない場合は今年の市営競馬は中止する」方針である。

「競馬赤字のうち二十二萬円だけ 協力団体で負担」(『石卷新聞』2月21日)

昨年八月開催市営競馬の赤字三十二万円を同競馬協力団体が負担するかどうか二十日の協力団体からの回答が注目されていたが同日午前県家畜商組合石巻支部長沼倉勝雄氏は市役所に長川助役を訪れ
「赤字全額負担できない。馬券の売上から払い戻し金人件費を差し引いた競馬の純赤字分二十二万円は協力団体が補充すると回答した昨年ヒバリ野海岸の競馬場の馬券売り場が火事で焼失したり雨のため競馬開催期間が長びいて生じた赤字など十万円は協力団体の責任でないから負担しないというのである市では二十三日午後一時から市会議室で緊急競馬運営委員会を開き赤字補充の善後策を協議するが、市では昨年協力団体と取り交した覚書をタテに赤字全額を負担するよう協力団体側へ要求するものとみられる

「赤字問題も解決したので 市営競馬は今年も開催」(『石卷新聞』2月22日)

 (昨報)二十日午後千葉石巻市長と石巻競馬会社代表堀村弘氏、家畜商組合代表沼倉勝雄氏の間で三十三年度市営競馬の赤字補充を話し合つた結果、昨年競馬の赤字を二十二万三千八百五十七円に調整し、前からの約束によつてその全額を協力団体側が負担することにまとまつた子農林課の調べではこの赤字は総収入千百八十四万四千九百十八から支出済額千二百十四万八千百五十五円(馬券払いもどし、人件費、その他)とこれから支出する三千百円を差し引いた三十万六千三百三十七円となつたが馬券払戻し不能収入(馬券の払いもどしをうけない人の払戻し金を仙台法務局石巻出張所へ寄託している)五万二千四百八十円と千葉市長が会長の東北公馬協議会の総会節約費三万円、合計八万二千四百八十円の収入をみこんで結局赤字は二十二万円としたもので払戻し不能金は今年八月時効完成し市の収入となる。なお二十三日の競馬運営協議会では赤字問題は円満に解決したので今年市営競馬を開催することをきめる予定である。

「ヒバリ野にゴルフ場」(『石卷新聞』2月22日)

石巻市内のゴルフ愛好者が資金を出し合つてヒバリ野海岸にゴルフ場をつくる計画が進められている石巻商工会議所会員の近藤三朗氏ら経済人代表は昨年十二月、仙台丸善運動部のゴルフ専門家を招きヒバリ野海岸一帯を調査した結果ヒバリ野競馬場の馬場の内側がゴルフコースに最適とわかつたので百万円の費用をかけて網をはつたりコースを整備したり手を加え四月末までにゴルフ場を完成することにした。同競馬場の所有者の石巻競馬会でも馬場の内側を貸すことに大体きまつたので今月末ころからゴルフ場建設工事がはじまることとなつた。
▼近藤三朗氏の話=海辺のゴルフ場は全国どこにもないそうで、その完成が待たれている。会員制を設けてできるだけ多くの人に開放したい。

「市營競馬 今年は二回」(『石卷新聞』2月26日)

二十四日の石巻市営競馬運営委員会、同専門委員会は今年の市営競馬は七月二十五日から八月二日まで(七月二十八、二十九、三十日は休み)と八月十六日から同二十三日まで(二十、二十一日は休み)の二回開くことをきめた。今年も市営競馬に赤字を生じた場合は協力団体がその全額を負担することを条件に行うものである。

「四議員が質問(第一日) 石巻市議會市長施政方針を質す」(『石卷新聞』3月7日)

『市営競馬廃止せよ』
田畑議員 (中略)
(5)市営競馬は赤字黒字を問わず廃止すべきだ。不健全なトバク行為であり、家庭悲劇をも引き起す競馬を市営で行うのは市民の福祉に反する。
(後略)
千葉市長 (中略)競馬は近い将来全廃する。(後略)

「新年度予算案 委員会へ付託 石巻市議会、審議も急ピッチ」(『石卷新聞』3月13日)

十一日の本会議の主な質疑応答は次の通り
『市營競馬特別会計』
(青柳議員)市営競馬は毎年赤字をだして市民の批難を浴びている。市は馬商組合などの協力団体にふり回されているのではないか
(浅野議員)赤字をだしながら継続している競馬でありながら一体市にどれくらい貢献しているのか。協力団体の補助をうけてまで行う必要あるまい。はつきり廃止の方針を打ち出してほしい。
(佐藤農林課長)三十三年度の赤字は協力団体が負担することになつた。別に問題はない。執行面では他の競馬開催市から感心されているくらいだ。
(千葉市長)市営競馬は行うべきでないと考えている。昨年は風水害のため成績はよくなかつた。
(浅野議員)昨年に限らず十回のうち八回までは赤字だ。三十四年はやむを得ないとして三十五年度は廃止せよ
(千葉市長)いつとはいえないが近い将来廃止する。(これで明年度一般会計、特別会計の質疑は全部終了)

「豫算案の審議終る 石巻市会あすまで休会」(『石卷新聞』3月19日)

17日の石巻市議会予算委員会は午後一時四十分開会、三十四年度一般会計(歳入)、同一時借入金の件を承認したあと、三十四年度国民健康保険歳入歳出予算、同一時借入金、同水道事業会計予算、同事業起債、償還方法、同市営競馬歳入歳出予算、同一時借入金の八議案を異議なく承認し、これで同委員会へ付託の八案件を終了し午後二時半閉会した。
この日の委員会は一日目(十四日)二日目(十六日)の一般会計歳出の部の審議がかなり荒れた後のためか与野党委員ともに審議はダレ気味、一般会計歳入の住宅使用料、競馬会計の部の赤字補てんの問題、水道会計の工事内容などにつき質疑が二、三でたほかは問題なく承認した。なお市議會は十八、十九の両日各委員会の報告書作成のため本会議委員会とも休会し、二十日午後一時から最終本会議を開会する。十七日予算委員会の主な質疑は次の通り。
(中略)
 (高橋委員)市営競馬を途中でやめた場合でも協力団体は赤字を負担するか。
 (佐藤農林課長)三十四年競馬の実施前に協力団体から赤字負担の覚え書を市に入れてもらうからそのようなことはない。

「三十四年度予算成立 石巻市議会きのう閉会」(『石卷新聞』3月22日)

(略)
 さらに裏町宮城交通会社前から仲町佐勇果物店間百三十メートルの下水道施設事業、三十三年度市営競馬赤字補てん資金など二件の寄付採納、同競馬歳入更正予算のほか明年度一般会計予算、同国保会計予算、同水道事業会計予算、競馬会計予算をいずれも原案通り可決、一般歳入歳出予算四億三千二百万円をふくむ総額六億五千九百万円にのぼる明年度の石巻市一般・特別当初予算は成立した。
(後略)

『市会記者席』
十七日の予算委員会まではかなり荒れ模様をみせた市議会も、二十日再開の本会議は最終日とあつて審議に実が入らず異議なし≠フ連続、三時間で二十一議案を片づけ、会期中で最もスピーデイーな審議ぶりをみせた。その中で青柳議員は委員会付託議案の報告、追加議案などにコマメにくいつき三十三年度市営競馬の赤字二十二万円を馬商組合が穴埋め負担する問題では田畑、及川(勝)両革新系候補もこれに加わり当局泣かせの質問を連発、閉会を待ち望む与党会議派議員の気をもませた(後略)

「赤字續きの市營競馬は 今年限りで中止か」(『石卷新聞』3月31日)

県馬商組合石巻支部と石巻競馬会社は三十日石巻市へ三十三年度市営競馬で生じた赤字補充分として二十二万三千八百五十七円を納めた。実質的な赤字は約三十万円あつたが来る八月には受取人不明で現在仙台法務局石巻出張所に寄託中の馬券払いもどし金八万円がもどつてくるほか雑収入を赤字補充にふりむけることにして、その残りの二十二万円余だけを競馬協力団体が負担したもの。今年も七月から八月にかけ二回市営競馬を開催するが赤字財政の石巻市が赤字を出しながら競馬を続行することには世論の風当たりが強まつているので市当局でも市営競馬の中止を考慮中で市営競馬も今年が最後となる公算が高まつている。

「市營競馬廢止後の馬場 防潮林か運動場か 営林署と民間に二つの構想」(『石卷新聞』5月21日)

 石巻市ヒバリ野競馬場は市営競馬協力団体の石巻競馬会社(社長亀山六三郎氏)が石巻営林署から借りた国有地だが、同営林署は競馬場が不要となつた場合競馬場をつぶして防潮林を造成する計画のため石巻市が近々市営競馬を廃止することになつた現在各方面にいろいろ波紋をなげかけている。
この競馬場は面積七・四ヘクタールでこのなかには馬場、馬券売場など一通りの施設があり、市は同会社から一回六万円の使用料でまた借りして年二回以上競馬を開催してきたが同競馬は毎年十万円前後の赤字をだしてモウからない事業であるうえ市内の青年婦人層から競馬反対の強い声もあるので市では早ければ今年度限りで同競馬を廃止することになつた。廃止後は石巻競馬会社と競願の形で国有地払い下げを申請し、払い下げとなれば将来同地に市営総合運動場を建設する計画など持つている。
 一方石巻営林署は同競馬場一帯が防潮林地区の一部であるので競馬場を廃止すれば競馬会社から返還してもらい防潮林を植えこむ計画なので、現在石巻競馬会社は市と営林署の間にハサまり、その対策に頭をかかえているという。同社では近く場内の平地をゴルフ場に改装する案もありまた競馬施設に相当額を注ぎこんだ関係上競馬場を国に返還しては間尺に合わず、市には競馬の継続を働きかける一方最悪の場合は民営競馬を開催することも予想されている。
また石巻市もこの競馬場が防潮林になつては将来総合運動場を建設する計画にヒビも入るので市営競馬の廃止へはふみきつたものの困つている。差しあたり市営競馬中止となれば同地の払い下げを市、競馬会社などで請願することになろうが、林野庁がこれを認めるかどうか関係者は強い関心を払つている。
▼石巻営林署の話=競馬場があるため潮風が吹きこみ、付近の農耕地、住宅街はかなりの損害をうけている。石巻の観光発展のため必要であるならば別だが競馬を廃止するなら競馬場も不要になるから返してもらい防災林を植栽する。払い下げは数年前まで青森営林局でも考慮していたようだが現在のところは全然考えていない。
▼石巻市農林課の話=市営地として多方面に利用するため石巻営林署を通じ払い下げ方を申請したいと考えている。

「廢止後の競馬場跡は 市から払下を申請」(『石卷新聞』5月22日)

(昨報)市営競馬廃止後の存廃が注目されている石巻市ヒバリ野競馬場は石巻市はこれを将来多角的に活用するため払い下げをうける方針をきめ、近く青森営林局へ現競馬場用地七・四ヘクタールの払い下げ方を申請する。さる十八日県からの連絡によると県は定川入江から北上河口におよぶ海岸沿いの国有林を本年四月二十一日付で潮害防備保安林予定地に指定告示したが競馬場付近一帯の国有地は整理処分予定地となつているという。一方石巻営林署では競馬場一帯も防潮林地区に指定されていると語つているなど県の意見と若干の食いちがいがあるが市では将来釜入江に工業港を築港した場合、競馬場一帯は多方面に活用できるとして払い下げを強くのぞんでいる。なお市営競馬は今年七月から八月にかけ連続二回開催するが再び赤字となつた場合は本年度限りで廃止の公算が高まつた。

「市営競馬場敷地の払下げを 市から正式に申請」(『石卷新聞』6月5日)

石巻市は近く石巻営林署に市内ヒバリ野海岸競馬場一帯の国有地約八ヘクタールの払下げ方を申請する。石巻営林署は市が競馬場一帯を観光事業に使用する場合は市営競馬廃止後でも引続き例用を認めるけれども払下げは考えていないと語つているが市は近い将来釜工業港計画が具体化すれば釜入江に通ずる航路を競馬場付近の砂浜を掘つて新設する予定であり、またほぼ平地化している、競馬場一帯の国有地は総合運動場としてもその他の用途にも広く使えるところから是非払い下げを受けるよう関係方面と接渉する方針である。

「市の拔打ち拂下請願に 競馬会社は大不満」(『石卷新聞』6月11日)

石巻市は市営競馬廃止後ヒバリ野競馬場一帯の国有地を綜合運動場やゴルフ場、住宅街などに活用するため、このほど石巻営林署を通じ青森営林局あて競馬場一帯二八・八ヘクタールの払い下げ請願書を提出したがこの際、同地の払い下げを四、五年前から請願している石巻競馬会社(代表亀山六三郎氏)へは全然相談しなかつたため同会社は「市のやり方は一方的だ」とむくれている。市では十日午前十時から市役所で同地払い下げ請願で石巻競馬会、県馬商組合石巻支部関係者を招き打合せ会を開く予定のところ千葉市長は河北町の合併祝賀会、長川助役は仙台市の七十周年記念式典に出席して不在のため集まつた両競馬団体代表者は佐藤農林課長農務係長と懇談した。席上競馬会からは「競馬関係団体の共願でうけるべきだ。何年も前から請願中の団体を無視して市が一方的な払い下げを申請し競願としたのは一方的すぎる。しかも二八・八ヘクタールもの土地の払い下げをうける重要な会合を首脳部がスツポカしては相談もできない」とサンザン苦情をのべたので市では同打合会を近日中に改めて開くことにした。

「市營競馬は ことし二回」(『石卷新聞』6月27日)

石巻市営競馬運営委員会は二十五日午後一時から市議会委員会室で開き市営競馬開催日程をきめたが第一回は七月二十五日から二十七日までと同三十一日から八月二日までと中三日間休日をおき第二回は八月十五日から十七日までと二十一日から二十三日までとなつた

「競馬十周年の 記念レース」(『石卷新聞』7月8日)

来る二十五日から六日間ヒバリ野で開く市営競馬は創設十周年記念の二レースを行うがこのレースは平地速歩別にA級の出場馬だけ参加して行うもので、平地レースには四万円、速歩レースには三万円の石巻競馬はじまつていらい最高額の賞金を市と石巻競馬会がだす予定である。

「功勞者や馬主を表彰」(『石卷新聞』7月9日)

石巻競馬会は二十三日午後一時から公民館で石巻市営競馬開設十周年記念式典を挙行、同席上競馬功労者への感謝状贈呈や騎手、馬主を表彰する

「競馬十周年記念式で 騎手などを表彰」(『石卷新聞』7月16日)

ヒバリ野競馬場開設十周年記念と銘打つたことし第一回の石巻市営競馬は川開祭りと同時に開幕、二十五、二十六、二十七、三十一、八月一、二の六日間開催するが、市農林課は馬券売上げ目標を六百五十万円とし準備を進めている。こんどの出走馬は約百頭でうち、県外馬は三十頭の見込みだが、第二日目11レース、第四日目のレースには競馬場開設記念の特別賞金がかかる。馬体検査と能力検査は二十三日日前九時から同競馬場で行う。なお石巻競馬会(会長亀山六三郎氏)では二十三日午後一時から公民館で競馬場開設十周年記念式を行い、馬主、騎手、施設関係など功労者二十二人を表彰、六人に感謝状をおくる。ヒバリ野競馬場は昭和二十一年同会が国有地を借り約二年で施設を整え、同二十四年第一回県営競馬を開催した

[註]雲雀野競馬場の開設は昭和23年。よって正しくは11周年。

「競馬も盛況」(『石卷新聞』7月28日)

二十五日からヒバリ野競馬場で開催の本年第一回石巻市営競馬は川開祭見物がてらの客を収容して連日盛況を続け、二十五日は九十九万円、二十六日は百二十六万円の馬券を売り上げ順調な滑りだしをみせている。初日の第三レースで一万二千円(連勝)の大穴がでたほか五千円台のアナが一回、四千円台のアナが二回とはじめから荒模様のレースを展開してフアンの血をわかせ二日目にも四千円台のアナがでた。競馬は二十八日から三日間中休みし三十一日から三日間再開する。

「昨日は最高の 一万円のアナ」(『石卷新聞』8月2日)

石巻市営競馬の後半一日目の三十一日は六十九万一千三百円の売上げがあつた。とくに第8レースの二千四百メートル速歩では一万八千三百十円という今競馬最高の大穴があり人気をあつめた。これで前半を合せ四日間の総売上げは三百九十九万円にのぼり最終日までに六百七十万円の売上げがあるものと関係者は期待している。

「目標の六百万圓を下廻る 第一回競馬の收入」(『石卷新聞』8月4日)

三十四年度第一回の石巻市営競馬は競馬場開設十周年記念と銘打つて七月二十五、二十六、二十七、三十一、八月一、二の六日間開催したが馬券売り上げ高は目標の六百五十万円に五百八十六万六千六百円に止まつた。快晴続きに恵まれながら六百万円を突破しなかつた原因として、水沢、上ノ山など他地の競馬とカチ合つたこと、強い暑さが続いたこと開催日が月末にかかつたことなどを市はあげている。第二回市営競馬は8月十五、十六、十七、二十一、二十二、二十三の六日間催すが、二回目でよほどの好成績をあげない限り、ことしの石巻市営競馬はまたまた赤字の心配が大きい。なお六日間を通じての大アナは第五日目第八レースの一万八千三百円、また第三日目第十レースで「全力疾走を怠つたため一位に入るべき馬が三位となつたのは八百長」と一部観客が騒いだがこれは市で調査の結果騎手が交替していたことが判明、また第六日目第十二レース発馬直後他のコースを冒した騎手がありこれには市から一週間の騎乗停止を命じた。六日間の馬券売上げ高次の通り(円)
 (25日)九九七・五〇〇(26日)一二七四・三〇〇(27日)一〇三三・〇〇〇(31日)六九一・三〇〇(1日)七〇六、五〇〇(2日)一一六四・〇〇〇(合計)五八六六・六〇〇

「最高は十日間で三千円  今年のバイトは短期で終る」(『石卷新聞』8月4日)

石巻地方高校生の夏休み中のアルバイトは石巻川開祭をピークに一段落した。(中略)まとまつたバイトはやはり競馬関係で全部で八十人(男一〇、女七〇)が一日男子百九十円、女子百八十円で一週間ヒバリ野競馬場へ通勤した。(後略)

「十五日から 市營競馬再開」(『石卷新聞』8月11日)

本年第二回市営競馬は来る十五日から十七日までと二十一日から二十三日までの六日間再開するが出走馬は前回より十頭ほどふえて九十五、六頭が予想されている。第一回競馬は川開きにもかかわらず馬券売上額は五百八十万円で目標の六百万円まで達しなかつたので二回目は1回目をこえるフアンが集まらないと六百万円売り上げはむずかしく今年も赤字は避けられまいとみている。

「ヒバリ野競馬場付近に 市營総合運動場 隣接国有地の拂い下げを運動」(『石卷新聞』8月13日)

石巻市では第二回市営競馬が終り次第、ヒバリ野競馬場一帯約二十八ヘクタールの国有地の払い下げ運動を再開する。同地は現在県の保安林、石巻営林署の防潮林地帯に指定されているが市ではこれの払い下げをうけて同地一帯に市営総合運動場、ゴルフ場、海浜公園を設けまた住宅街などにも利用しようとの計画をたてている。さる五月には石巻営林署を通じて青森営林局あて市長名で払い下げ陳情書を提出しているが、その後同地に隣接した釜の工業港計画が急連に進展し、市としても競馬場付近に市有地を確保しておく必要が高まつたので場合によつては来月長川助役が青森局へ出向き、払い下げの意向を打診したうえで正式に払い下げ申請を行うことを考慮している。

「石巻市營競馬 今日から再開」(『石卷新聞』8月16日)

石巻市の本年度第二回市営競馬は県内外から百頭近くの出走馬を集めて十五日再開した。レースは十八、十九、二十の三日間中休みして二十三日まで六日間行う第一回競馬では約二十万円の赤字をだしているので市では第2回競馬は六百万円以上の売り上げをネラつており石巻駅前−競馬場間に無料バスを運転したり入場者へマツチを配つたりフアンへのサービスにつとめている。

「きのうの競馬 大アナが續出」(『石卷新聞』8月18日)

十五日からの第2回石巻市営競馬は初日八十三万四千円の売上げでややふるわなかつたが二日目の十六日はレースが荒れ気味で第十一レースの一万一千百四十円の大アナをはじめ第五レース九千七百五十円第六レース四千四百三十などのアナがあき百十一万円を売り上げ久しぶりに活気を呈した。

「思わしくない 市營競馬」(『石卷新聞』8月19日)

第二回市営競馬は十七日で前半を終り十八日から三日間中休みする前半三日間の売上げは二百九十万八千六百円で一回目の前半の売上成績三百三十万四千八百円より三十万六千円少ない。

「受取人のない 競馬の賞金」(『石卷新聞』8月23日)

石巻市は昨年の競馬の受取人のない賞金六万二千円がさる七月二十日マル一年を経過して時効が成立したのでこれを昨年度の市営競馬特別会計にくり入れ赤字のアナうめにした。

「騎手落馬して 大ケガ」(『石卷新聞』8月25日)

第二回石巻市営競馬五日目のレースで落馬事故があり騎手が大ケガをした−二十三日午後二時二十分ころ第五レース(指定平地八百メートル)が発馬して間もなく、第四コーナーの競合いで二号馬のセフトボーイ号(牡5才駒)=桃生郡河南町鹿又、伊藤悟さん飼育=が突然ころび、騎手の伊藤六雄さん(五三)=石巻市蛇田字境谷地=はもんどり打つて落馬、左肋骨を三本折るという全治一カ月余の大ケガをした。石巻日赤病院で手当したが競馬での落馬、暴走事故はこんどで三回目である。前夜の雨で馬場があれていたのが原因らしい。

「再開市營競馬 前回より増收」(『石卷新聞』8月26日)

第二回市営競馬は雨のため一日のびて二十四日六日間にわたる全日程を終了し五百九十九万九百円と前回より十二万四千三百円増の馬券売上成績をのこして閉幕した。これで今年度の市営競馬は全部終つたわけで馬券総売上高は千百八十五万七千五百円となり赤字は昨年より下回るものとみられている

「ケガした騎手の治療費  市の態度は未定」(『石卷新聞』8月28日)

(既報)さる二十三日、石巻市門脇ヒバリ野競馬場で開催の第二回市営競馬五日目の第五レースで落馬し全治一カ月余のケガをした騎手の伊藤六雄さん(五三)=石巻市蛇田字境谷地=は第三者を介し治療費、入院費全額を市で負担するよう市農林課へ要求したが市営競馬運営規則には騎手が負傷した場合のハツキリした定めがないため市では伊藤さんへどのような名目で取扱うか態度をきめかねている。市は一応水沢市の岩手県営競馬の施行規則を準用して主催者側の手落ちで騎手、見物人が負傷した場合は見舞金をおくることにしてはいるが、伊藤さんの場合は先頭から四番目を走つていたセフトボーイ号(伊藤さん騎乗)が第四コーナー付近で内ワクから前の馬を追い抜こうとしたさい、前の馬とコースのサクにはさまれバランスを失なつて落馬したという事情のため、この規則を適用するには疑義があると関係者は語つている。しかし地方競馬に出場する騎手の大半は負傷、死亡した場合の共済組織もなく伊藤さんも馬主からほとんど治療費の援助はうけられない状態にあるので治療費、入院費は全額市で負担することになろうと農林課では語つている。このようなことで赤字がふえた場合は市営競馬協力会がこれを負担することになつている。なお四年前、市営競馬で騎手一名がレース中転落死亡した時は市から三万円の弔慰金と諸経費一切を市で負担しているがこの時死亡した騎手は伊藤さんのオイであつた。

「競馬は今年も赤字 二十三萬円のアナ埋めが問題」(『石卷新聞』9月15日)

石巻市農林課は本年度市営競馬の収支決算をこのほど終えたが約二十三万円の赤字がでている。内訳は馬券売上金、プログラム、騎乗申込金などの収入が総額千二百三万円、一方支出は千百九十七万円で差し引き六万円の欠損となつたほか石巻競馬会への馬場使用料十二万円(一回六万円ずつ二回分)などを合せると二十八万円の赤字となるが、昨年の競馬賞金で受取人のない五万円が市に入るので差し引き赤字は二十三万円となつたもの。この赤字は石巻競馬会など協力団体が負担することになつているものの協力団体側では今年は昨年より二十七万円馬券売上収入が増加したから赤字にはならないと主張しているので市の要請にこたえ二十余万円のアナを約束通りウメるかどうか注目されている。

「赤字続きの市営競馬は 市は廃止に踏切るか」(『石卷新聞』9月30日)

千葉石巻市長は二十八日の本会議で諸般の報告のなかで本年度市営競馬の成績を報告し、今年も約三十一万円の赤字が生じたので市営競馬は根本的に検討を加えるべき時期がきたと競馬廃止を言外にニオわせた発言を行ない注目をひいた。三十一万円の赤字は年度末までに約五万円の賞金未払金が市の収入にくり入れられることによつて二十六、七万円に減る見こみだが昨年の赤字額を五、六万円上回ることは必至とみられ、この赤字を昨年も赤字を補てんした競馬協力団体が負担するか否か問題視されている。ともかく市営競馬は開催この方十年間というもの一度も黒字になつたことがなく、財政再建下の市財政の重荷ともなつているのが現状で市民の一部、とくに婦人青年層には市営競馬廃止の声がでており、主催者の市職員内にも批判的な論が表面化しつつあるので早晩、市営競馬は廃止か、規模の拡大による黒字経営にふみきるか市当局も決断を下さねばならない時期に直面するものとみられている。

「競馬の赤字 負擔で協議」(『石卷新聞』10月15日)

石巻市営競馬運営委員会は十六日午後一時から市議会委員会室で開き、市から競馬会計決算報告を行なう。本年度の市営競馬は前後二回とも天候には恵まれたが競馬フアンの集まりが悪く、農村景気も下火のため馬券売上、その他の収入面で目標の千二百万円に達せず三十一万円の赤字を生じている。この赤字は受取人不明の賞金などで四、五万円埋め合わせつく予定だが、それでも二十六、七万円の赤字は残り、これを競馬協力団体が負担するかしないか同委員会で協議することにした。市営競馬の廃止か継続かは赤字を協力団体側が負担するかしないかでハツキリきまる模様である。

「赤字競馬の 後仕末を協議」(『石卷新聞』11月5日)

石巻市営競馬運営委員会は五日午後一時から市議会会議室で開き本年度市営競馬決算報告と赤字二十七万円のアナ埋め問題を協議する

「市営競馬の廢止か否か 二月までにきまる」(『石卷新聞』11月14日)

石巻市は来年二月の明年度予算編成期までに市営競馬を継続するか廃止するか態度を決める模様である。この競馬は今年も三十万円の赤字をだし市当局部内にも「市財政に寄与しない赤字競馬は廃止すべし」の論が高まつているが、一方石巻競馬会、石巻馬商組合など市営競馬協力団体は地方の競馬フアンのためや馬産奨励のため継続を主張し、昨年は三十余万円の赤字を気前よく補充した。今年の赤字も協力団体がアナ埋めする約束だがその代わりに来年も競馬を続行することを条件としているため継続か廃止か迷つている市としても痛しかゆしの態である。市当局は「赤字のアナ埋めははじめからの約束だから先ず約束を果してもらう」と語つているが来年廃止と決定したのちも協力団体が約束を履行するか確証はないのでいまのところはハラの探り合いということになつている来年度も継続の場合、明春の予算議会に競馬特別会計予算を要求しなければならないのでおそくも来年二月ころまでには継続か廃止かケリをつけるものとみられている。

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